赤いリボンの猫[完結] | ナノ

部室での会話C


『うっひょー!!やべぇっこんな点数採ったの高校入ってから初めてっすよ!』



部室で、山本が今日早くも返却されたテスト用紙を上へ掲げて叫ぶ。
上半身裸でだ。


その姿を見ながら夜久が『はいはい。早く着替えろ。』と素っ気なく返す。

黒尾は着替えながら『マネージャーに御礼言っとけよー。』と言って部室を出ていく。


山本はテスト用紙を抱きしめ、『はいっ…!』と嬉しそうに返事をする。


そこへ、研磨がやってきた。



『おいーっ研磨ー!見てくれよっ名前さんのお陰で俺はっ…』

「…教えてもらったならもうちょっといい点数採った方がよかったんじゃない?」

『…。』



75点という彼にとっては微妙な点数を見た研磨が、山本に言った言葉はとてもダメージが大きいものだった。


山本はガーン…という効果音が聞こえてきそうなほどに落ち込み、角で座り込む。



その様子を見たリエーフと犬岡が声をかける。



『た、猛虎さん!元気だしてください!』

『そうっすよ!研磨さん、悪いとは言ってませんし!』

『…そういう、お前らは…何点だったんだ?』



リエーフと犬岡は顔を見合わせ…山本にだけ聞こえるように点数を告げた。

それを聞いた山本は、さらに落ち込んだ。



『くそ…名前さんになんて言えば…』



落ち込む山本に夜久が『大袈裟なんだよ。』とだけ吐き捨てて、部室を出て行った。


その時、研磨の携帯が震えた。


シャツを着てから、届いたメッセージを見る。
同じクラスの小池からのメールだった。


内容は数学のノートを返したいという内容。

確か、明日、数学の課題が出されていたことを思い出した研磨は“わかった。”とだけ返事し、おそらく教室にいるのだろうと、着替え終えたと同時に部室を出た。



『あ、おい!研磨!』

「何?」



体育館とは逆へ向かっている研磨を止めた黒尾が首を傾げた。



『いや、どこ行くんだ?』

「ちょっと、教室に。始まるまでには戻る。」

『じゃあ、もしかしたら名前とすれ違うかもしれねぇな。』



『もし会ったら“氷買い足し”って言っといてくれ。』と黒尾が研磨に伝言を頼む。

「わかった。」と返事をした研磨に口角を上げると体育館へ戻った黒尾。



研磨は教室へ向かった。


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