赤いリボンの猫[完結] | ナノ

気にしなくていい


『あ、日曜、研磨ん家行くのか?』



黒尾が身体を横へ向け、名前を見る。



「はい…そのつもー…」

『気を付けろ?アイツも男だ。』



その黒尾の言葉に、名前はドキッとした。


さすがにその言葉の意味はわかる。
でも…



「やっぱり黒尾先輩ってそういうこと考えてるんですね。」

『研磨にも言われたぞ…そんなに変なことばっか考えてるような奴に見えるか?』



黒尾は自身を指でさし、名前に苦笑いを向ける。

こくりと頷いた名前は「間違いなく、誰から見ても。」と満面の笑みを向けて答えた。

そんな2人の姿を捉えた者がいた。



「…ちょっとごめん。」

『え、研磨?』



山本の不思議そうな声を背に、視界に捉えた2人に歩み寄る研磨。

その背を見つめる小池と山本。
山本が納得したように小池に言う。



『黒尾さんと名前さんか…。』



小池は首をかしげた。



『名前さんって…4組の?』

『そうっす。うちのマネージャーなんすよ。』



山本のその言葉を聞き、小池は『へぇ…』と答えると口角を上げて笑みを見せた。



『そんなに?…嘘つくんじゃねぇぞ?』

「ついてませーん。残念でしたね。」

「何の話してるの?」



黒尾と名前の間に、いつにもまして低めの声が入った。

名前も黒尾も研磨の姿を見て笑みを浮かべる。



「研磨…」

「うん…」



目の前にいる彼の名前を呼んで頬を染める名前に、『お前、ムカつくぐらい研磨といると変わるな。』と黒尾が言う。

それに、素直に反応を示した名前は口を閉じて俯く。


研磨が名前から黒尾に視線を移した。



「きのうのこと話したの…?」

『お前、鋭いな。』



研磨が名前に視線を移すなり、「クロの言ったこと、気にしなくていいよ。」と言う。


「え?」と名前は顔を上げて、固まった。



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