赤いリボンの猫[完結] | ナノ

昼休み


 翌日、月曜日。廊下から一番遠い窓際の席に座って、昨日の部活を終えてからも倒せなかったボスに積極的に挑んでいる研磨の姿があった。
 昼休み、昼食を済ませた生徒が教室から出て行ったり、他クラスから入って来たりと騒がしくなる。
 くあっと欠伸をする研磨の姿は猫のようだ。


「研磨ー!」


 騒々しいクラスのドアから、姿を現した者の顔を見て、呼ばれた本人は嫌な顔をした。手招きされ、渋々立ち上がる。
 クラスの女子が数人、彼へ視線を向けてはひそひそと話す。それに研磨は、はぁ、とため息をついては、目の前に立ちはだかる黒尾を見上げた。


「クロ、目立つからやだ」
「はぁ? そんなこと聞きにわざわざ二年の教室来たんじゃねぇんだよ」


 そう言うと、だるそうな研磨の肩に手を置き口角を上げた。


「行くぞ」
「……」


 ここまで来て、教室に戻るわけがない、と思った研磨は抵抗することをやめて黒尾についていく。


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