赤いリボンの猫[完結] | ナノ

部室での会話B


『で。お前ら…明日から何をするかわかってるよな?』


部活が終わり、外は真っ暗。
まだ少し肌寒いため部員はみんなカーディガンを着ていた。

終えた後で暑いのか、揃いも揃ってみんな袖を捲って、立ちはだかる主将の姿を見上げているのは…



『はい!!わかってます!!』



ニコニコ笑顔でビシッと手を挙げるリエーフと犬岡の姿だった。


知らぬ顔をして着替える研磨の隣で夜久が呆れた顔をしてふたりを見ている。



『おう。いー返事だ。結果を期待してるぞ。』

『はい!!』



二人のいい返事が更衣室に響き、解散…となるはずが…



『山本。お前もな。』

『う…うぃっす…』



しれっと黒尾が注意したのは、黙り身を隠していた山本だった。

そして次なるターゲットは…



『研磨。』

「なに?」



研磨の隣に行く黒尾。
その隙に逃げるように帰って行ったのは山本だった。



『お前何だかんだ言いながらすることするもんな。』

「うん。いっぱいするよ。」

『…なんだ?彼女効果か?』



研磨のいつにも増したやる気発言に、黒尾はニヤニヤと研磨を見る。



「え、違うよ…それに彼女じゃない…」

『照れんな、照れんな。』

『え!研磨さん、名前さんと付き合ってるんすか?!』



リエーフの発言に黒尾と研磨の視線は自然と彼へ向けられた。
だが、二人の視界に入ったのはリエーフの愕然とした表情だった。


え、と戸惑う部員たち。



『ちょ、ちょっと待てリエーフ。確認なんだが…お前、名前のこと…』

『はい、好きですけど…』



部室に、驚きの声が響いた。

夜久は『お前、研磨と苗字の関係知ってて応援してたんじゃねぇの?』と再度確認する。



『いえ…でも、研磨さんには勝てないっすよ。男から見ても研磨さんは魅力がありますから!!セッターとして!』



ニッと、自慢気に言ったリエーフだが、研磨以外の者はセッターとしてという言葉が気になってしかたがなかった。



「リエーフより、魅力があるのかは、わからないけど…」



研磨が金色の髪をサラッと揺らして、リエーフを見る。

そんな彼に、部員たちの視線は釘付けだった。



「名前は、あげない。」



その言葉と、研磨の見せた男の表情に部員たちは顔を少し赤くした。



『…んで、研磨、お前、ちゃんとするんだよな?』

「もちろん。名前がいなくてもできるし…ゲームは。」

『は?ゲーム…?』

「え?」



このあと、黒尾にゲームを取り上げられそうになったのは言うまでもなかった。



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