赤いリボンの猫[完結] | ナノ

部室での会話A


翌日、バレー部部室ではマネージャーの話で盛り上がっていた。
発端は黒尾の一言である。



『なぁ、名前の可愛いとこってどこだと思う?』



真っ先に着替えを終え、体育館へ向かおうとしていたリエーフが振り返り大きな声で言う。



『顔でしょ!』

『言うと思った…』



夜久が呆れたようにリエーフを見る。



『名前さんは華奢っすよね。なんか…こう…守りたくなるっす!!』


そう言って自分の体を抱きしめる山本。


『あー…確かにほっせぇよな…んで、俺らからみるとちいせぇ…本人は小さくないって言い張ってたけど…それか?』



黒尾が真剣に考えている隣で夜久は『でも研磨が可愛いって言ってたのはまた意味が違う気がするぜ。』と言う。



『研磨は顔で選びそうにないしな。』

『…やっぱりアレか。』



黒尾が確信したように発した。
夜久が着替えを終え、鞄からボトルとタオルを出しながら『ん?』と聞く。



『…身体だ。』

『!!』

『はぁ?!』



さすがにその場にいた部員全員が反応を示した。
夜久も例外ではなかったが、『可愛いに関係すんのか?それ。』と冷静さを取り戻す。



『あー…言われてみれば…。いや、名前って華奢なくせに胸あるよな。』

『可愛いから、どんだけ飛んだ話すんだお前。』



夜久はそれだけ言うと部室を出て行った。



『って…おい、山本。鼻血出てる。研磨にバレる。』



黒尾が黙り込む部員たちの方を見ると、一人突っ立って血を垂れ流す男子がいた。
本人は『えっ…』と鼻の下をサッと撫でる。

手に染まる赤を見て、ばたりと倒れ込んだ。


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