赤いリボンの猫[完結] | ナノ

マネージャー


 休日の部活を終え、片付けに取り掛かる部員たち。研磨はボールを拾い集めていた。そこへ後輩に指示を出しながら研磨に向かって歩み寄ってくる黒尾に、捕まった。


「研磨。あした、また再開すっから」
「えー……もう、いいじゃん。いなくて」


 黒尾から視線をふいっと逸らして、“面倒くさい”と言っている顔をできるだけ隠す。そんな彼に「いた方がいいに決まってるだろ?」と諭す。
 二人の姿の横を通り過ぎようとした犬岡が「何の話しですか?」と話に入る。


「いや、最近始めたんだよ」
「?何をですか?」
「マネージャー勧誘」
「!!」


 黒尾の言葉を聞いた山本がびゅんっとどこかからやってきて、黒尾の手を握る。


「え、何? どうした? 山本……」
「黒尾さん!! さすが主将っす! 俺、見直しました!」
「おい、山本……良いように聞こえねぇんだけど?」


 突然現れた山本に引き攣った顔をしながら、あまりに近い彼から距離を取ろうと顔を横へ向けた時だった。黒尾の視界の端に金髪の頭が入った。それは、少しずつ遠くへ離れて行っている。


「あ!! コラッ研磨! 逃げるなっ」


 その黒尾の叫びにビクッと肩を揺らしながらそそくさと体育館準備室へ入って行った。

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