赤いリボンの猫[完結] | ナノ

バスケ


『すまねぇ、思ったより遅くなった!』


黒尾がバタバタと走って研磨の教室に入った。
研磨はゲームに夢中で、名前はその前の席で真面目に課題をやっている。



『なんだ、お前ら…特に名前。』



名指しされた本人は「真面目なんで。」と黒尾に答える。
黒尾はそれを聞いて『俺が不真面目みたいに言うな。』と呆れた。



「不真面目じゃん。」

『研磨、お前そのイメージ下げるクセやめろ。』



チラッと黒尾を見上げた研磨が「はやく行こ。」と言う。

いつもとなんら変わりない2人の様子を見て『お前ら男女が二人っきりだってのに、何も無かったのか?』とニヤニヤ顔の黒尾。


鞄を持って立ち上がった名前は黒尾に「黒尾先輩は変態なんですよね。」と言う。



『…研磨。』



研磨を見る黒尾だが、見られている本人は「え…」と言ってからドア付近にいる彼女の姿を見る。



「名前がそう学んだんだと思うよ。」

『お前にか?』

「違う…独学。」



嫌な顔をしながらトボトボとドアへ向かって歩いていく研磨。

黒尾は『おい、名前。誰に刷り込まれた?』と教室を出ていく。



「刷り込まれたんじゃないですよ。私が黒尾先輩を見てて思いました。」


『そんなに俺変態なことしたか…?』と隣でゲームをする研磨に問いかける。
研磨は指を動かしながら「いつも名前に絡むからじゃない?」と言う。


『うーん…』


過去を振り返っていく黒尾。


『いや、そんな変態呼ばわりされるほどのことはしてない…だろ。』

「あ、望月。」



下足ロッカーが多く並ぶそこで、鉢合わせたのはバスケ部のイケメン、望月だ。
望月は名前を見て『おう。』と返事するとそのまま隣にいた黒尾を見た。



『よぉ。イケメンくん。』

『どうも。黒尾先輩。』



不穏な空気が流れるその場に名前は「これから部活?」と問いかける。



『うん。この前の試合勝ったから。来週もある。』

「え、すごい!」



その会話に、研磨の指が止まった。
名前は「望月はレギュラーなんでしょ?」と話を続ける。


黒尾と研磨はその会話を黙って聞いていた。



『うん。』

「私も見たいなぁ〜バスケ。」



名前は元々運動全般大好きなため、もちろんバスケにも興味深々だ。
黒尾はつまらないため『俺、先行っとくわ。』と彼女に告げさっさと向かう。

それを見た研磨も「俺も。早く来なよ。」と名前に告げて黒尾の後を追った。


そんな二人を見た望月が名前に『見に来たら?』と声をかけた。


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