赤いリボンの猫[完結] | ナノ

放課後


言われた通り、教室でゲームしていた研磨の元に、名前がやってきた。

教室でゲームをして黒尾を待つ二人。


「これ、前言ってた手が出てくるやつ?」

「うん。」



どんどん暗闇の中を入っていく研磨が動かす人。
誰もいない教室に男女二人だというのに、この2人はその場を楽しんでいた。

ゲームを楽しむ研磨と、その隣で画面を覗き込むように見守る名前。


研磨が動かす人が、角を曲がった瞬間、不意をつかれたように真っ白な手が画面の奥から出てきた。


「ひっ」と声を上げたと同時に研磨の肩を掴んでその背に身を隠す名前。


研磨は「これ、みんなも驚いてた。」と平然とゲームを続ける。

名前は驚かされたことによる鼓動の速さを感じながら胸に手を当てて落ち着かせる。


「…出てくるところ、わかってるの?」


背後からの問いかけに研磨は「うん。ある程度は。」と操作しながら答えた。



「えぇっなんで言ってくれないのっ」

「…興味、かな。」



「名前は、どんな反応するんだろうって…」と言う。

興味って…。と研磨の背で黙り込む名前を不思議に思ったのか彼は「名前?」と身体を横に向ける。


チラッと研磨を見たまま黙り込む彼女に研磨は「怒った?」と問いかける。


その質問に、顔を歪めた名前は「怒るようなことしたと思ってるの?」と問いかけ返した。


研磨は考えるような表情をして「…ううん。」と答える。


じゃあなんで怒ったかどうかなんて聞くの、と呆れていた名前の耳に研磨の声が届いた。



「可愛かったけど…」



その言葉に反応する名前は、素直に顔を赤くする。



「でも、次からはちゃんと言うようにする。ごめん。」と座り直した研磨は再び手にしていたゲームへ視線を向ける。

名前は立ち上がるなり研磨の首に腕を回した。



「え…」


研磨の戸惑いの声が、切れる。

優しくて、いつもよく見てくれてる研磨に、名前の身体は無意識に動いていた。



「…好き。」



名前の声が研磨の耳元で聞こえた。



ゲームのBGMが流れていたが、残念な音楽が流れる。

画面に視線を落とした研磨は「あ…ゲームオーバー…」と呟く。

そのゲームを机に置くなり、彼女の腕にふれた。



「名前。」

「うん。」

「よく、わからないけど…」

「…うん。」




「…俺も、好き。で、いい?」



なんとも研磨らしい返事に、名前はいつも以上に可愛く笑った。


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