赤いリボンの猫[完結] | ナノ


東北遠征を終え、朝練に向かっている研磨。
相変わらずゲームをしながら歩いている。



『ニャー…』

「…。」



路地裏から出てきた猫だろう、真っ黒な猫が研磨をジッと見つめている。
研磨はしゃがみこみ、猫の頭を撫でる。


人懐っこく研磨に撫でられ心地よさそうな顔をしている。



「君、迷子?」



優しい顔をしてそう問いかけた研磨に、猫がジッと見つめる。



『研磨?』

「あ…」



黒尾が背後から現れた瞬間、猫がピュッと逃げて行った。

立ち上がる研磨に「クロのせいで逃げた…」と逃げた先を見つめる。



『研磨が猫に興味を示すなんて…珍しいな。』

「そう?」

『いつもゲームに夢中だろ?』

「…うん。」



二人で歩きながらいつもとなんら変わりない会話をする。
突然、『…あ、そうだ。』と黒尾が思い出した。



『今日、放課後ちょっと教室残ってて欲しいんだわ。』

「えー…やだ。」



黒尾の頼みに嫌な顔をする研磨。



『ゲームできるぞ?』

「…なんで、教室?」

『俺が呼び出されたからだ。きょうオフだし、一緒に帰ろうぜ。』



『もちろん名前もな。』と付け足された名前を聞いた研磨は「わかった。」と安易に受け入れた。



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