バレー部
休日、日曜日の部活が始まった。基礎練習を終え、紅白戦を行う。体育館にはシューズの音と大きな声が響いていた。
レシーブでボールが上がり、研磨の元へボールが来る。二人がアタックの姿勢に入っている。
誰に上げよう、研磨がボールに触れれば、その先は一瞬だ。相手のコートに綺麗なスパイクが決まった。
「よっしゃあ! ナイストスだ、研磨!」
研磨にハイタッチをしに行った黒尾。しかし、ピタリと動きが止まった。
ん?とその姿を見ていた他の部員が見る。研磨は手を上げて待っているのに、目の前の彼は手を下げた。その姿に研磨は首を傾げた。
「?」
すると、黒尾が頭をかきながら言いにくそうに「その……研磨、さっきはすまなかった」と謝罪を述べた。
研磨は「え…何のこと?」と再び首を傾げる。夜久は黒尾と研磨の会話を聞きながら、笑う準備をしていた。
「ここに来る前だ」
「?」
三度目の首を傾げた研磨の姿に、黒尾は薄々感じていたことを口にする。
「何、お前……まさか、忘れたのか?」
「クロ、何かしたの?」
研磨からの留めの一言で夜久は笑い出し、黒尾は「今の今まで悩んでた俺って……」っと凹んだ姿を見せる。
そんな中をただ傍観していたリエーフが「研磨さん、記憶喪失っすか?!」とギョッとした表情を見せる。
その瞬間部員はげんなりした表情を見せ、研磨が「リエーフ、うるさい」と制した。
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