赤いリボンの猫[完結] | ナノ

寝起き


翌朝、欠伸をしながら食事に向かおうとしていた名前。
男子がいる部屋のある階が騒がしく覗き込むとリエーフと犬岡という1年生ペアが朝からはしゃいでいた。



「こらー1年。」

『!!名前さんっおはざーす!』



うるさい、と注意しようとしていたのにさらにうるさいリエーフに無言で睨む。
リエーフは、ん?と首を傾げた。
その隣で犬岡が『すんません。』とペコっと頭を下げる。


その奥から黒尾が欠伸をしながら現れた。



『おう、名前。はえーな、お前。』

「早いなって…黒尾先輩遅すぎません?今起きたんですか?」



眠そうな表情の黒尾に問いかけた名前。
『んー…』とだるそうに返事をした。



「みんな起きてるんですか?」

『いや、1年だけな。2年と3年はまだ寝てる。』



そう言ってどこかへ向かった黒尾とは反対に、名前は男部屋に向かった。
ドアを勢いよく開くもスヤスヤ寝ている部員たち。


部屋は真っ暗。


誰かカーテン開けたらどうなの…優しいのか、優しくないのかわからないよ。



そう思いながら、寝ている部員たちの間をそろそろと通っていく名前。

カーテンをシャッと勢いよく開けると日差しが部屋に差し込んだ。


その瞬間、寝ているはずの部員たちの顔が一斉に隠された。



「…こら…」



呆れる名前は片っ端から起こしていく。



「夜久先輩。起きてください。もう7時過ぎてますよ。」

『んー…起きる起きる。』



素直に体を起こした夜久だが、目を瞑っていて起きた内に入らない。



「海先輩、起きてください。」

『…え、何時?』

「7時過ぎてます。」

『えっ?!』



さすが副主将、勢いよく目を覚ましてくれた。
「先輩も起こすの手伝ってください。」と言って海の周りを任せた。



「…。」



ジッと座り込んで、寝顔を見つめる名前の先は、爆睡中の研磨。



「…研磨。」



名前を呼ぶが、反応はなし。


こうしてみると、研磨って肌綺麗だよね…唇も…。


ジッと見ていると研磨の顔が歪んだ。



「クロ…やめて…」

「…黒尾先輩に一体何されてるの。」


「研磨。」と体を揺らすと目を薄っすら開けた。



「名前?」



目を合わせるなり目を擦る仕草が可愛くてきゅんとする。



「ふふ…」

「なに?」



絶対今、嫌な事考えたでしょ、と研磨の顔に書かれている。



「可愛い。」

「うるさい。」



照れたようで、布団を頭まですっぽり被り「誰、名前派遣したの。クロでしょ。絶対許さない。」とご立腹な研磨。

名前はクスクス笑った。


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