赤いリボンの猫[完結] | ナノ

可愛い


「うわぁ…広い!!」



研磨の後に続いて部屋に入った名前は目をキラキラさせた。
座って海と話していた夜久が彼女の姿を見てニヤニヤする。



『苗字はもう耐えられなくなったか?』

「だって一人なんですもん…最近思ったんですけど、夜久先輩って意地悪ですよね。」



夜久と会話する名前の“一人部屋”発言に他に聞いていた部員が妄想を始める。

研磨はゲームを手にして、電源を入れると座り込んだ。



『烏野はマネージャーいんのかな?』

「あ、いるって聞きました。」



夜久の話に返事をしながらも、研磨の近くに腰を下ろした名前。

その近くに山本や福永が座る。



『はぁ?!マネージャー居なかったらそれだけで1勝だったのに…』という山本の発言に海が『おいおい、それってどうなんだ?』と呆れる。


『どっちのほうがかわいーかが重要なんじゃねぇの?』


と夜久は名前を見ながらニヤニヤする。
その顔を見てムッとする名前。



「夜久先輩はかわいー子がタイプなんですねぇー」

『そうだな。うちの苗字よりは大人しい感じの方が…』

「それって遠回しにうるさいって言ってますよね?」

「名前は可愛いよ。」

「…え?」

『『……は?』』



ゲームをしながら聞いていたのか、研磨がゲームを操作しながらボソッと言った言葉は、その場にいた全員の顔を赤くさせるには十分だった。


しんと静まり返ったその場を不思議に思ったのか、ゲーム画面から顔を上げた研磨が見たのは、部員たちの固まった赤い顔と、名前の恥ずかしそうに俯いた照れた顔だった。



「?俺、変な事言った?」

『いやいや、おい。いつからそんな天然になった。研磨。」

「え…意味わかんない。思ったこと言っただけじゃん。」

『女キラーかお前は。』

「ほんとに意味わかんない。」


失礼な、と怪訝な顔をする研磨に対し、慌てるのは夜久と山本だ。
名前は居ずらくなりスクッと立ち上がると「部屋に戻ります!おやすみなさい!」と言ってさっさと部屋を出て行った。


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