赤いリボンの猫[完結] | ナノ

顔面偏差値


まさか…と、研磨の顔を見た名前だったが、研磨が首を軽く左右に振ったのを見て安堵した。


「ううん…顔面偏差値高いって。」


その言葉を聞いた名前は固まった。



「が…顔面偏差値?何、その単語…」

「うん…」



そう言って顔を上げた研磨が「俺もよくわからない。」と話す。

やっぱり…?、と同感だった彼女が頷く。



「たぶん、可愛いってこと。」



だが、その言葉を聞いた瞬間、勢いよく立ち上がった。


「じゅ、順番だから、行くね?」


それだけ言うと、自分の走るレーンに並んだ彼女。
研磨は特に気にすることなく立ち上がった。


レーンに入った名前の姿を見た心が『え、どうしたの?名前。』と彼女に声をかける。



「…ねぇ、心…」

『ん?』



両手で顔を隠しながら名前は彼女に問いかける。



「…研磨は、女キラーなのかな。」

『え。ないでしょ。ないない。』



真顔で答える心に、顔を覆っていた手を外し見る。

その顔を見た心は、ぎゅっと彼女を抱きしめた。



「…やばい。」

『仕方ない。きょうは、男から睨まれたって、この腕は解かない。』



傍から見れば、熱い抱擁をしている二人。
次走る結羽がその姿を見て心配そうに歩み寄った。



『何?名前泣いてるの?』

『こらっ結羽っ見るなっ』

『え?!なんで?!』



その姿を見た男子たちがざわつきを見せていたのは言うまでもない。



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