主将登場
「黒尾先輩!」
肩を掴んだ人を見上げれば、主将の姿。
ほっとした瞬間だった。
『いえ、何も。それより、主将さんですよね。二人とも、体育館変わったこと知らないみたいですよ。しっかりしてくださいね。』
と笑みを向けると、体育館へ入っていった望月。
黒尾は眉間に皺を深く寄せていた。
『なんだ、アイツ。誰。生意気だな。』
「あ…うちのクラスの望月です。」
『望月?あー…あのイケメンが名前の彼氏かぁ。』
「え?彼氏?」
「…。」
黒尾の言葉に名前は眉間に皺を寄せる。
研磨は心の中で、面倒くさい…と思っていた。
『名前さ、お前有名人なんだな。まぁ容姿はそうだけど…人柄だろうな。』
「え、っと?何の話ですか先輩。」
二人の中々進まない会話に嫌気がさした研磨が口を開いた。
「望月と名前が付き合ってるって話、が噂になってる。」
「え?!なんでっ…今朝は研磨だったのに…。」
名前の言葉に黒尾は『お前ら噂になってんの?』と驚いた。
『研磨とか…まぁ、アレより研磨のほうが良いだろ。』
黒尾は望月に先ほど言われた言葉に相当ご立腹な様子。
言葉に棘があった。
黒尾の言葉を聞いた研磨は機嫌をよくするどころか、悪くした。
「クロのせい。」
『えっ何で?』
「クロが帰ればよかったじゃん…」
そんなことを言う研磨に黒尾は肩を組んで言う。
『お前、そんなこと言ってるけど…本心か?』
「…。」
黒尾に何も反論できない研磨は黙って第二体育館へ向かった。
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