赤いリボンの猫[完結] | ナノ

部活が揺れる


廊下に出るなり、『悪いな、呼び出して。』と謝罪する黒尾。
名前は“いい人だ”と思った。


「全然、気にしないでください。」

『さっき、研磨んとこにも行ったんだけど…アイツ今日すんげぇ機嫌悪くてさ…』


『昨日、帰り道何かあった?』と問いかけられる。
昨日の帰り道のことを思い出すなり…

ドキドキ胸が高鳴りを増す。



「研磨と帰ると…心が落ち着きませんでした。」

『アイツが何かした?』

「こう…誰にでも、あぁなんですか?」


名前の話に首を傾げる黒尾。


『ん?名前ちゃん、ちゃんと明確に話してくれた方がありがたい。』

「うぅ…」


言えない…言えるわけがない。

ドキドキ、シチュエーションなんて口が裂けても言えない!!
それこそ研磨の機嫌悪くなる絶対。


そう考えた結果、黒尾には言わないことにした。



「でも、普通だったと思います。」

『名前ではないか…ちょっとさ、聞いといてくれねぇかな。アイツ機嫌悪いと、部活が揺れるんだよ…。』



部活が、揺れる?



よくわからないが、黒尾の苦笑いを見た名前は「わかりました。聞いてみます。」と研磨の機嫌の悪い原因を探る役目を買った。



『あ、それと、これ。みんなに渡してんだけど、今度、東北遠征あるから…その内訳な。』

「東北遠征…」

『もちろん、マネージャー一人だからついてきてもらうんで。よろしくな。』

「はい。」


『じゃ、それだけなんで。』と言うと、3年生の教室へ向かって行った黒尾。

名前はその足で、研磨の元へ向かうことにした。


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