赤いリボンの猫[完結] | ナノ

気になる


『それより、私は望月の方が気になるんだけど!』


心がジュースを机へ置き、身を乗り出して名前に問いかける。


『ズバリ、望月のことどう思ってんの?』

「え…どうって…いい人。」


その返事に心は再び椅子に座り直した。
結羽は『望月がかわいそうになってくる…』と視線を彼へ向ける。


クラスの男子と楽しそうに会話する望月。
彼はバスケ部員であり、明るく気さくな性格が女子受けを招いていた。
しかし、問題は、多くの女子と仲良くしないというところだ。



『あのイケメン、健気だわ…』

『一途…絶対付き合ったら幸せになれる。』

『好かれる側ならね。』

『ね。名前。』

「ん?え?」


ボーっと彼を見ていた彼女たちと違い、バレーのルールを見ていた名前にため息をついた。


『名前さんさ…そのバレー部にいい人見つけたの?』

「えっ…そんな風に見える?」


彼女はただ素直に問いかけただけなのに、その反応を見た二人が慌て始めた。



『え…なに、その反応…ちょっと待て、バレー部って誰いたっけ。』

『黒尾先輩でしょ?』

『イケメンいる?』


『イケメンは…』っとバレー部を詮索し始めた二人。

そのとき、ドアに現れた人物がいた。


『バレー部マネージャー苗字名前さーん。いらっしゃいますか?』


教室にいた生徒も、廊下にいた生徒も、視線は高身長の彼へ向けられている。


「…黒尾先輩!」


ガタッと勢いよく立ち上がった名前に、黒尾は視線を向けると満面の笑みを向けた。



『頼みたいことあるんだわ。ちょっといーか?』

「はい!」


そう言って教室を出て行った彼女。
2年4組の空気に、異様な雰囲気が漂っていた。


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