赤いリボンの猫[完結] | ナノ


2年4組の教室にいつも通り登校した名前。
いつも通りの彼女にクラスメイトは挨拶をする。

それに笑顔で返す彼女。

その中に、彼女の足を止めたクラスメイトがいた。



『苗字。』

「あ、おはよ。望月。」


同じクラスで名前と仲のいい男子生徒、望月だった。
いつも通り挨拶を返した彼女に、「ちょっといい?」とクラスの前の廊下へ連れ出された。



「苗字さ、昨日3組の孤爪と歩いてたって目撃情報があんだけど…」

「…あぁ…うん。歩いてた。」


金髪、プリンヘッドの彼は学年、いや、校内では誰もが知っている存在。
まぁ、こうなるだろうな、と予想はしていたことであった。


平然と答える彼女に望月は「付き合ってんのか?」と問いかける。


さすがの名前もその質問には「え?!」と顔を赤くした。


「ち、違うよ…」


だから隣で歩くのはやめたほうが良かったんだよ、私。と心の中で後悔する。

否定した彼女に「じゃあ何で一緒に歩いてたんだ?」と問いかけられる。


「実は…」


バレー部のマネージャーになったことを伝えようとした時…廊下がざわつく。

女子たちが望月を見て手を振る。
彼は嫌そうな顔をして「中入ろうぜ。」と彼女の腕を掴むなり教室へ入る。


その姿を、廊下にいた者、もちろん教室にいたクラスメイトはしっかり目撃していた。

それもまた、噂となるのは言うまでもなかった。



お昼休みになり、昼食を食べ終えた名前はお弁当箱を片していた。


『ねぇ、名前。』

「ん?」


そこへ、彼女と仲良く同じクラスの結羽と心が名前に思い切って質問をした。


『昨日の噂と、望月に対しての気持ちをお答え願う。』

「噂…研磨のこと?」

『えっ!?』


結羽は大きな声を出し、目を見開く。
その隣では心が紙パックジュースを片手に『孤爪だよ。孤爪研磨。』と付け足す。


『わかってるよー…でも、いつの間にそんなに仲良くなったの?』

「仲良くというか…二人に言ってなかったんだけど…バレー部のマネージャーすることになったの。」

『…。』



そう伝えると、結羽は固まり、心は『うち、バレー部強いんだってね。』と言う。

心の話にうん、と頷く名前に、結羽は『待って…バレー部って…あの黒尾先輩のいる?』っと問いかける。



「…黒尾先輩、いるけど…?」

『この子(結羽)、密かな黒尾先輩のファンだから。』

「えっ、そうなの?」


心の言葉に名前は驚いた。
全く黒尾の話を聞いたことがなかった上、ファンだなんて初耳だったので無理もなかった。


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