赤いリボンの猫[完結] | ナノ

終了


そこへリエーフがやって来た。


『あれ、お前何してんだ?』

『ギクッ…』


黒尾の問いかけに大きな体を揺らすリエーフ。

近くで見るとますます背、高いなぁ…と彼を下から見上げる名前。



『気持ちが口から出てんぞー』

『ヒィッ』


夜久がリエーフの背後から声をかける。


『夜久さんっお願いします。見逃してくださいー』

『目の前にいるのに見逃せるか…ほら、練習だ。』


そう言ってリエーフを引っ張っていく夜久。
そこへ現れたのは研磨だった。


『どうした?』

「…タオル…忘れた。」


猫背の彼は二人の前を通り、タオルを手に取ると元来た道を通っていく。


『あ、おい。名前送ってやれ。』

「えっ…」


黒尾の言葉に名前は慌てた。



「い、いいですっ一人で帰れます!」

『そりゃお前…一人で帰れるだろうけど…夜道は危険だぞ?』


『なぁ、研磨。』と黙って二人の会話を聞いていた研磨は黒尾に「帰ればいいんでしょ。」とだけ返す。


黒尾は不敵な笑みを見せるなり、名前に『名前、気を付けろ。コイツにぶつかってこられねぇようにな。』と言う。

首を傾げる名前とは裏腹に、研磨は黒尾に「ぶつからないし…たぶん。」と小さく反論した。



「さっきの、何の話?」


黒尾から解放された二人は部室へ向かって歩く。


「…俺、ゲームするでしょ?」

「うん。」

「この前、クロが前、歩いてたんだけど…ゲームに集中し過ぎてぶつかって…」


「怒られた。」と話した研磨。
名前はその画を想像して、思わず笑ってしまった。


「ねぇ、孤爪くんはどんなゲームするの?」

「うーん…あ、この前、虎に、“なんつーゲームしてんだ”って言われた。」

「え、それ、どんなゲーム…」

「画面から手が出てくる。」

「え?!ホラーゲーム…?」

「うーん、そんな感じ。」


そんな他愛のない話をして部室へ着いた二人、「じゃあ着替えたら出てきて。」とだけ告げた研磨は部室へ入っていった。


相変わらず、あっさりしてるなぁ、と思いながら名前も女子更衣室へ入っていった。


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