赤いリボンの猫[完結] | ナノ

考え


2-4の教室。
いつもとなんら変わりない授業風景。

だが、ただ一人、教卓から見ていた先生の目に止まった。
運動も、勉強も申し分ない成績を残している彼女。
いつも真面目にノートをとる姿がなく、ボーッと窓の外を見ている。


『苗字ー。グラウンドに何か面白い奴でもいんのか?』

「…え、いえ。」


数学の教師である、井上先生に名指しされた名前は視線を先生へ向けた。

数名、クラス内の男子がソワソワし始めるのが先生からは見えた。

その男子たちに鼻で笑い、『じゃあ、授業を聞くんだな。』と一言言えば黒板へ視線を向けた井上先生。


名前は、手元にあるノートに視線を落とした。

彼女をボーッとさせている原因は、昨日の研磨の言葉にあった。



−「好きなこと、できてたこと、できなくなっちゃうよ?」ー



確かに、私は毎日何かしら運動をしたくて放課後残っていた。

というのも、どの部活も、入ってまでしたいと思えるものでは無かったから、という理由がある。


1年の時からそうだ。
たまに助っ人として呼ばれることを楽しみに今日まで生きてきた。


でも、それも、できなくなってしまう。


かと言って…してはダメと言われたわけではない。

しようと思えば、休み時間でも、体育の授業だってある。

私は、それで十分だと思っていた。


…まだ、仲良くないけど…
仲良くなれたら、どこだって、毎日が楽しくなる。

バレー部だって、例外じゃない。


そう思った時、彼女は決心した。


昨日は、一緒に参加させてもらった。
きょうは、音駒高校バレー部を見させてもらおう。


そして、孤爪くんに言う。


私の思い。

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