赤いリボンの猫[完結] | ナノ

勧誘


『じゃあ、次はレシーブに回れ。夜久ー苗字と交代だ。』

『おー。』


コートの後方に回りリベロの夜久がセッターへ移動する。
そこから、サーブ、レシーブ、トスを名前がすべて行ったところで試合は終了した。


『研磨さんっ研磨さんっトス上げてください!』

「えー…今終わったばっかじゃん…ちょっと休憩させて。」

『え!?休憩終わったら上げてくれるんすか!?待ちます!いつまでも待ちます!』

「じゃあ、あと2年待って。」

『ん?何で2年なんすか?』


リエーフと研磨の会話に耳を傾けている名前に、黒尾が声をかけた。


『部への勧誘だって、気づいたか?』

「え、勧誘?!ですか?」


なぜ、ここへ連れてこられたのかと考えていた名前は明かされた訳に驚いた。


『そんなに驚くことか?』

「いや…だって、バレー部ですよね?」

『おう。あ、でも、マネージャーな。』


ボトルを口にしてゴクゴク飲んでいる黒尾に目を見開いた。


「え…えぇ!?」

『!!』


隣で突然放たれた大きな声に驚き、黒尾は飲んでいたドリンクで咽る。

部員全員の視線が二人に向けられた瞬間だった。


「マネージャー、ですか…?」

『だって、お前…普通に考えてみろ。男子バレー部だぞ、ここは。』

「?じゃあなんで一緒にバレーさせてくれたんですか?」


その問いかけに、黒尾は『あー、だって…』と名前を見た。


『苗字、運動好きだって言ってたし…その体幹だし…見てるだけじゃつまらねぇだろ?』


『だから一緒にできることしようと思って…。』と話す黒尾。

苗字は黒尾を見て固まる。


「そんな理由で…私を練習に参加させてくれたんですか?」

『お前なぁ、そんな理由とか言うな。心が痛い。』


マネージャーを得るべく行った黒尾の行動全ての責任が彼女に重くのしかかる。


「マネージャー、します。」


その一言に部員は一斉に騒ぎ立てたが、研磨だけは彼女を見過ごさなかった。


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