赤いリボンの猫[完結] | ナノ

注目を浴びる


ピーッと体育館にホイッスルが鳴り響く。

合宿最終日、研磨はいつにも増して機嫌が悪かった。



『おいおい、どうした研磨。』

「…。」



黒尾をジトっと睨む。
ふいっと視線を前へ向けてボールをレシーブする。



「きのう、言った?」

『なんのことかなぁ〜?』

「…性格悪い。」



そう言ってボールを手にする研磨。
ジッとボールを見つめた。



「すごい、見られてる気がする。」

『気にしすぎだろ〜?』



にやにやしている黒尾にため息をつき、ボールを上げた。



『研磨さん研磨さん。俺たちなんかすんげぇ注目浴びてないっすか?』

「なんで、ちょっと嬉しそうなの?」



休憩中、隣に座っているリエーフがニコニコして研磨を見るが、研磨は嫌な顔しかしていない。



『いーじゃないですか。』

「よくない。やだ。」



タオルを頭の上から被り視線を遮断する研磨。

そこへパタパタと前を走っていくマネージャー。



「夜久先輩!ボトルッ」

『ん?おう、悪いな。』



ボトルを手渡すと、タオルを配る。



『あ、名前さん!俺にもタオルください!』



リエーフが立ち上がり、タオルをもらいにいく。
その時に、気づいた。



『…名前さんっていつもこんなに視線浴びてるんすか?』

「え?」


気づかなかった名前は周りを見渡す。
主に梟谷のメンバーから視線を向けられていた。

視線を向ければ、そらされる。


そこで、昨日のことを思い出した。



「研磨も見られてるよね…」

「…何か知ってる?」



視線をそっと研磨から背ける。



「…名前。」

「う…、きのう…木兎先輩に…言っちゃいました。」



ため息をついて立ち上がる研磨。
黒尾のゼッケンをつかみ「クロ…俺の隣にいて。」と呟く。


それを聞いた瞬間、海が『なに?どういうこと?』と焦る。



『やめろ。誤解を招く言い方するな。』

「…意味わかんない。」

『俺でお前を隠せってことだろ。はいはい。』



『あー。そういうこと。』と海が安心したのを見て、夜久が『なーに焦ってんだよ。』とニヤニヤした。


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