赤いリボンの猫[完結] | ナノ

セッターの彼女


「あ!黒尾先輩!」



服を着替え、黒尾の姿に声をかける名前。
研磨は寝ようとそそくさと教室へ入っていった。

黒尾は廊下で木兎と会話していた。



『あー!!黒尾の彼女!』

「あ、あの…」

『ちょっと黙ってろ、お前。』



木兎を抑えて、『用があるんだろ?』と名前を見る。



「…黒尾先輩。」

『…惚れた?』

「いえ、惚れません。先輩軽いんで。」

『軽い言うな。』



そんな二人の会話を黙って聞いていた木兎は口を大きく開き、目も見開く。



『ちょ、ちょ…待って。え?名前ちゃんって…黒尾が彼女じゃないの?』



名前は黒尾の顔を見た。
黒尾は『そろそろ俺も限界だぜ?』と苦笑いをする。



「黒尾先輩じゃないです。」

『はぁあ?!だから何も答えてくれなかったのか!!』



大げさなほどに驚いた様子を見せる木兎に名前は苦笑い。



『でも音駒にいるんだろ?バレー部だろ?誰?誰よだれよ?』



名前に教えて教えてという目を向け近づく。



「け…研磨です。」

『ん?』



『けんま?』と首を傾げる木兎。
黒尾が固まっている木兎に『うちのセッターだよ。』と言う。


それを聞いて目を見開いた木兎は『あ…あぁー!!!』と廊下に彼の声が響き渡る。



『黒尾が溺愛してる…!?』

『やめろ。その言い方。誤解生むだろ。』



二人の会話に笑う名前。



「…なんか、寒くない?」



身震いをした研磨はクーラーを見上げて隣の山本に問いかける。
山本は寝転がりながら『そーかー?』と首を傾げた。



『セッターの彼女かぁ!』



木兎が彼女彼女と連呼するため、あまり聞きなれていないことに顔を赤くする名前。


研磨が呟いた。


「なんか…嫌な予感がする。」


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