赤いリボンの猫[完結] | ナノ

秘め事


背中に回された研磨の手に、意識が集中する。
名前の胸の高鳴りは一気に増した。



「いつも大きめのシャツのくせに。」

「そ…え?でも小さいわけでもない…」

「クロいなくてよかった。」



ボソッと呟いた研磨は、同時に名前を引き寄せる。
ぎゅっと抱きしめると同時に、彼女の肩に頭を預ける。

首に息がかかり緊張が名前に走っていた。



「ふふ…」



研磨の様子に可愛いと思った名前は思わず笑みを零す。
それを察した研磨は頭を起こし後頭部を自分のほうへ引き寄せると耳元で「名前。」と名前を呼ぶ。



「っ…」



びくっと肩を揺らした名前。
研磨はそのままぎゅっと抱き寄せた。

名前は意識的に研磨の背にそっと両腕を回すと思ったより逞しい背中に男を感じた。

ドキドキ高鳴りは増す一方。


研磨が少し身を離すと視線を落として「とりあえず…着替えてからクロのところ行って。」と言う。

名前は背に回していた手を両肩に移動させた。



「ふふ…」

「?なに?」

「想ってくれてるなぁ…と思って。」



それを聞いた研磨は眉間に皺を寄せる。



「なに、それ。」



ふいっと視線をそらした研磨の首に腕を回すと身を起こして唇を奪う名前。

少し離した隙をついて、研磨の手が名前の背に回る。



「っ…」



いつもより深いキスに、脳内は何も考えられずただ目の前の人のことだけを想っていくつも重ね合わせられる唇。



「け、んま。」



愛おしい気持ちが溢れてくる。
名前を呼びたくなる。



「…合宿中、なんだけど。」



その言葉に、悪いことをしているかのような感覚がした。



「うん…」



名前の訴える目にに研磨は答えるように黙って唇を寄せた。



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