赤いリボンの猫[完結] | ナノ

部員たちの会話


就寝前、寝転がってゲームをしている研磨の元に犬岡とリエーフがいた。



『黒尾さん怒ってましたよ?“何にも答えられねぇだろーがー!”って。』



リエーフは名前と研磨が去った後の第三体育館の話をしていた。
犬岡はリエーフから事情を聞き、話に混ざっている。



「クロには、後で謝っとく。」

『何聞かれたんすかね?!』



犬岡がわくわくした表情で研磨とリエーフに問いかける。

研磨は眉間に皺を寄せて「さぁ…」と知らぬフリ。
リエーフは逆にバカ正直なため『“お前が告ったのか?”とか“いつから付き合ってんだ?”とか…あ、あと“キスしたのか?!”とか聞いてました。』とにこやかに話す姿を見て研磨はため息をつき、犬岡は研磨に『実際のところどうなんすか?』と目を輝かせる。



「…知りたい?」

『はい!!』

『えぇっ研磨さん、教えてくれるんすか?』



目を輝かせる後輩二人を見てふっと笑うとゲーム画面に視線を移して「さぁね。」と返す。

するとリエーフと犬岡が研磨にちょっかいをかけ始めた。


教えてくださいよーと言う二人。

しかし、それがぴたりと止んだ。



研磨はやっと諦めた、と視線を二人へ向けた時。



「ちゃんと髪乾かした?」



眉間に皺を寄せて上から覗き込む名前の姿だった。



「…またクロの派遣?」



首にタオルをかけたままの名前、いつもよりいくらか目立つ胸元と髪はほんのり湿っている様子が伺えた。

ゲームに集中している素振りを見せながら周りの視線を伺う研磨。



「そう。黒尾先輩に用があってきたんだけど…どこ行ったのかな?」

「…はぁ。」



ため息をつき、身を起こすと名前に「来て。」とだけ言い捨て、部屋を出る研磨。

その背を慌ててついてく名前。


二人のいなくなった部屋ではリエーフと犬岡をはじめとする部員たちが名前の話で持ちきりだった。



部屋を出て、自動販売機のある1回に来た二人。

すぐ近くにあるくつろぎスペースに腰かけた研磨は名前を見上げた。



「それでクロと会うつもりだったの?」

「え…」



いつも通りの口調だが、どこか怒気が籠っていて名前は戸惑った。

研磨のそれというのは、短パンといってもひざ上だし、上は半そでのパーカーだった。



「ちゃんと変な目で見られないようにしてきたんだけど…」



と研磨の様子を伺いながら服を握りしめる名前。

その片手をそっと掴むと自分のほうへ引き寄せた研磨。



「目立つ。ダメ。」

「え…なに―…」



研磨の意味のわからない言葉と共に、握られていた腕をグイッと引き寄せられ身が研磨に尚近くなった。


[ 97 / 110 ]
prev | list | next

しおりを挟む