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「じゃあ、今度は俺の番だね。触っていい?」

 返事があるかないかのタイミングで、下着の上から豊かな双丘を揉みしだく。あっ、と驚く声があがるが、頓着せずに続けた。
 わざと音をたてて首筋に口づけを落としながら、下着の下部から指を差し入れ、先端に触れる。ふにふにとやわらかさを持っていたそこは、つねったり、周辺を触ったりしているうちに、硬さを帯びてくる。
 シャーロットの吐息が、隠せずに漏れる声が、熱く、甘くなってくる。耳のそばで生まれるその音が、俺の野性を激しく呼び覚ます。

「今まで誰かに触られたことある?」

 聞くと、シャーロットが弱々しく首を横に振る。
 俺の体温がまたぶわっと上がった。こんなに綺麗な体に、誰も触れたことがないなんて。その初めての男になれるなんて。嬉しい。とても嬉しい。

「下、触るね」
「ん……」

 下着の上からそこを愛撫する。布ごしでも、もうとろとろに潤んでいるのが分かる。感じてくれているのだ。
 直に触れようと下着のなかにそろそろと指を伸ばすと、シャーロットがひしとしがみついてきた。片腕で火照ったしなやかな体を抱きとめる。

「怖い? 大丈夫だよ。気持ちよくしてあげるね」

 俺は中指を、そこに伸ばした。熱く、ぬるりとした感触に迎え入れられる。途端、シャーロットが聞いたことのないような甘い喘ぎをあげた。触られるのは初めてなのに、それが気持ちいいと、体が知っているのだ。
 入り口の上の方にある膨らみをリズミカルに刺激する。シャーロットの腰が、俺の指に合わせて上下しはじめる。おそらく無意識のうちに。

「ん……っ、ヴェルナー……だめ、そこ……」
「ここ、気持ちいいでしょ」
「やぁ……も……おかしくなっちゃう……っ」
「気持ちよくなっていいんだよ」

 シャーロットは俺の腕のなかで、生まれたての雛のように震えていた。自分すら知らない自分に怯えていた。そんな彼女を、心の底から愛おしいと感じた。大切にしたいと思った。
 指の先でぷっくりと形を作ったものが、どんどん硬さを増していく。それに比例して、シャーロットの嬌声も高く、長く、とろけていく。抱き寄せていた方の腕を解き、片手で刺激を続けながら、もう片方の手を後ろから入り口へと伸ばす。
 そこはシーツにこぼれるくらいに濡れていた。中から溢れてくるものに逆らって指を差し入れると、案外たやすく根本まで受け入れる。
 シャーロットの中はとても熱かった。
 片手の刺激を一旦止め、奥まで差し込んだ指を動かしてみる。

「中で動いてるの、分かる?」
「そこ、なに……」
「一緒になるとこ」

 耳元で囁くと、シャーロットの中が俺の指をきゅうと締めつけた。
 両手での刺激を再開する。シャーロットの、あ、ああ、と漏れる猫みたいに上擦った声が、脳の雄の部分を引っ掻きまわす。もうとっくに理性なんか焼き切れている。
 この指が、俺のあそこだったら。そう考えるだけでやばかった。俺のものはまた硬くなっていた。
 早く挿れたい。本能のまま、剥き出しになったものをすべすべした太ももの内側に擦りつける。
 一際高い喘ぎ声が上がって、シャーロットがぎゅううと俺に縋りつく。まるで全身が落下していくことに逆らうみたいに。中が、きゅう、きゅう、と強い収縮を繰り返した。絶頂だ。指の運動をやめる。荒い息をたてて、シャーロットが脱力する。
 気持ちよかった、と問うと、潤んだ目が俺を見つめ、小さな頷きが返ってくる。

「良かった」

 軽く汗ばんだシャーロットの額にキスをした。
 彼女はもうぐったりしている。俺のは痛いぐらい起っているし、最後までしたかったが、彼女は何もかも初めての経験なのだ。このへんで止めておいた方がいいかもしれない。

「今日はもうよそうか」
「……馬鹿言わないで。最後まで続けるわ」
「ロッティちゃん……君に無理をさせたくないんだ」
「何を言ってるの? あなたが気を遣う必要ないじゃない。私が頼んだことなのよ」
「そうだけど……」
「私とするのは嫌?」

 きっと睨まれる。それが精一杯の虚勢だと、分かってしまう。俺はシャーロットを抱きしめて、頭を撫でた。

「そんなわけないだろ。俺もロッティちゃんと一緒に気持ちよくなりたい。でも君を大切にしたいんだ。君が好きだから」
「やめて……」
「大好き」
「やめてよ……」
「本当に、続けていいの?」

 肩口あたりに、首肯の気配を感じる。
 俺は一度体を離してベッドから降り、自分の上着の内ポケットからコンドームを取ってきた。

「それ、いつも持ち歩いてるの」
「うん、まあ」
「……」
「いや、別にそういう機会を常に狙ってるわけじゃないよ? でも用心するに越したことはないじゃん?」
「…………そうね」
「じゃあちょっと待って、着けるから……」
「待って」
「え」
「口で着ける練習がしたいの。貸して」

 シャーロットがずいと掌を差し出す。練習ってなんだかなあ、と思いつつ、ギザギザの小さな包みを彼女に手渡す。シャーロットは手の中のものに、数秒間じっと視線を注いだ。もしかして、コンドームを見るのも初めてなのだろうか――。
 俺はシャーロットがやりやすいよう、ベッドの端に腰かけた。彼女は張りつめた面持ちで、脚のあいだに跪(ひざまず)く。どうしよう。この状況だけでイけそうだ。
 彼女の指が袋を破く様子を眺めていたら、不機嫌そうな上目遣いが俺を捉えた。

「なに」
「いや、可愛いなと思って」
「馬鹿じゃないの」

 シャーロットが吐き捨てる。罵られて興奮した俺のものが、また少し大きくなる。それに気づいたらしいシャーロットは、重力に反して立ち上がったものを、冷めきった眼で見つめた。

「あなた、変態なのね」

 そう、俺は変態で、君は最高だ。

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