夜の帳と丸い月 蚊帳の吊られた中に布団を二つ並べて横になり、こちらに背を向けて寝転がるエドワードに後ろから抱き着いて懐いていたら、不意に手を取られて指を引っ張られた。 「明日の昼のバスに乗るからな」 「ウン」 業務連絡のようにそっけない口調だったが、リンの指を離さない。親指、人差し指、薬指と、順にリンの指を軽く引っ張りながら一巡してまた親指に戻る。 リンはくすぐったさに耐えて平静を装った。 「いいとこだネ、エドワードの田舎」 「昼間は何もないとか言ってたじゃん」 「何も無いのがイイ。やること無いから、こうやってくっついてられるシ」 「ばーか…」 空いているほうの手で、エドワードの髪を撫でる。洗いたての髪はまだしっとりと冷たく、熱りだしたリンの指に甘やかに絡んだ。 髪を撫で、首筋に流して白い項をあらわにすると、エドワードの体が少しだけ身じろぐ。しかし拒む様子は無い。相変わらずリンの指を摘まみ、そこにちゃんと五本あるのを確かめるように軽く引っ張っている。 「エドワード…」 今夜は月が明るい。風を入れるために雨戸を開け放っているので、庭先を照らす月明かりでエドワードの白い肌が闇に浮かび上がるようだった。 耳元で低く名を呼び、甘えるように項を舐め上げる。エドワードの体が大きく跳ねた。しかし拒みはしない。 「昨日もしたじゃん」 エドワードの体の下に潜り込ませた腕で寝巻き代わりのTシャツの裾を捲り上げると、小さな声で止められる。それには答えず薄い胸をやんわりと撫でると、強張りながらも堪らないとばかりに震える肢体。 「昨日は舐めっこしただけだロ、今日はちゃんと最後までしたイ」 「ばーちゃんに聞こえる」 「聞こえないヨ、もう寝てル。昨日エドワードが寝てから結構大声で『お婆ちゃんタスケテ!エドワードに犯されル!』って叫んだけど、起きてこなかったもン」 「てめぇ、なんて事を…」 「だからダイジョウブ!」 エドワードがくつくつと笑い出した。OKのサインと受け取って、リンは邪魔な服を一枚一枚脱がせていく。 「せっかく人気のない所に来たんだし、アオカンとかもしてみたいナ」 調子に乗って言ってみたら、後頭部で頭突きされた。 ←text top |