nearly equal

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揚羽蝶は華に縛られ7

「ぁあ…っ」

意識せず溜め息が漏れ、エドワードの全身がふるりと震えた。
視覚情報で身体に鳥肌が立って、興奮しているのを隠す事も出来ない。

「綺麗だよ…綺麗だ。本当に、キミは…」

正面から抱き締められたまま、アルフォンスに首筋を強く噛まれる。その痛みすら、今のエドワードには官能を刺激する快感にすぎない。

「…やっぱり、我慢、出来ない」
「はっ……」

アルフォンスが慌ただしく上着を脱ぎ捨てていき、露わになった肌をエドワードのそれに重ねてきた。
アルフォンスの体温が熱いのか、エドワードの中で燻る熱を感じるのか解らなくなる程密着していると、再び腰が無意識に揺らぎ始め、アルフォンスに腰を擦り付けるように動いてしまう。

「あ、やだ…っ…」
「エドっ……」

アルフォンスが抱き締める腕に更に力を込める。
あまりの強さに骨格がみしっと音を立てたが、アルフォンスの腕は緩まない。

「こんな気持ち、エドが初めてなんだ……凄く怖い、おかしくなる…怖い、よ」

エドワードを抱くアルフォンスの腕が小刻みに震えているのに気付いて、エドワードはアルフォンスの顔を覗き込んだ。

「ねぇ、僕はどうしたらいい?どうすればいい?」

縋るように見詰められ、エドワードは思わず笑ってしまった。

ドSの緊縛師のくせに、そんな事も知らないなんて。

「オレの事、好きなんだろ?」
「うん、好き」
「だったら簡単だ」

エドワードは笑いながらアルフォンスの耳元に囁いてやった。


「もっと、縛ればいい」



オレが動けなくなる程。
オレが、お前しか見えなくなる程。
お前以外じゃ感じなくなる程。


「もっと縛ってくれ……アルフォンス」








*

それから約半日、エドワードはアルフォンスに「調教」された。

本気モードのアルフォンスは、今までの攻め方が子供の遊びに思える程のドSっぷりで、エドワードは恥も外聞も無く泣かされ悶えさせられて、漸く解放された時には起き上がる事も出来ないほどにされてしまった。

「マジで死ぬ…マジで殺される…」
「あんなに喜ばれたら僕だって加減出来ないよ…あぁ、こんなに激しいの、僕だって初めてだ」
「だぁれが喜んでた…?くそ、好き勝手ヤりやがって…」
「喜んでたじゃない。何回イった?十回は出したよね。『もう出ない』とか言って、その後も三回は出した」
「………」

アルフォンスも本当に精魂尽きたらしく、エドワードに横から抱き付いて倒れ込んだまま、動こうとしない。

「お前だってな、な、何回もっ…」
「あぁ、中出ししちゃったねぇ…三回?四回?最後の方覚えてないなぁ……五回出したかな?奥にたっぷりと」
「あああもう言うなっ…!」

エドワードは今更ながら羞恥に身悶えた。
今回も挿入を強請ったのはエドワードだ。しかも本気モード全開のアルフォンスに要求されるまま「アルのおっきな×××をエドのイヤラシイ×××に奥までくわえさせてアルの×××から出る白い×××をお腹一杯飲ませて下さい」などと恥ずかしげもなく言わされてしまった。
そして本当にお腹一杯飲まされているから世話はない。

結局、エドワードも途中からノリノリだったのだ。

「ホントにオレ、Mになっちゃったワケ?つうか知らなかっただけでバリバリのドMだったのか?」
「あれ、気付かなかった?」

アルフォンスの言葉に、ん?と首を巡らせれば、幸せで幸せで仕方ないといった顔のアルフォンスとばっちり目が合った。
「プライドが高い人ほどMの気質が強いんだ。エドがMの気があるって、最初に逢った時に直ぐに分かったよ?」
「………」

死にたい、とエドワードは本気で思った。

「僕達、身体の相性は最高だと思うよ。……で、いっそ心の相性も最高にしてしまいたいんだけど」
「……ばぁ―か……」

力無く答えるエドワードに、アルフォンスは余裕の表情だ。

最初からエドワードがMだと分かっていたなら、アルフォンスに捕らわれるこの未来だって分かっていた筈だ。


蝶が花の蜜の香りに誘われるように、エドワードの背中に刻まれた黒揚羽もアルフォンスと云う華の出す蜜に誘われた。

まさに、SとMの調和。

ふたりは出逢うべくして出逢い、結ばれるべくして結ばれたと言えるだろう。



「も、分かるだろ。相性なんて」
「エドの口からちゃんと聞きたいな」
「………」

これも羞恥プレイの一環かと半ば呆れながら、エドワードの身も心も奪っていった妖しい華に、エドワードは目を細めて囁いた。




「もっと縛って、ご主人様」








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