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 ボンゴレ十代目の命を受けクロームは、雲雀のアジトを訪れていた。入室する時は着物で、という決まりを守りクロームは、雲雀お気に入りの紫色の着物を身に纏い襖を静かに開ける。
「また、沢田のおつかい?」
 からかうような雲雀の言葉に頷くとクロームは、A4サイズの封筒を雲雀に手渡した。今回の任務は大きな仕事ではなく、雲雀が興味を持ちそうなものではなかった。故にボンゴレ十代目はクロームを彼のもとへ寄越したのだ。雲雀は気まぐれな男だが、クロームが交渉した場合の成功率は現時点で100%である。惚れた弱みであるということは雲雀自身、自覚しているのだが……
「詳しい資料を明日持って来て」
「……! わかった、ありがとう、恭弥」
 クロームの上目遣いと小鳥のように小首を傾げた無意識のおねだりや任務を引き受けることを告げた後に自分に向けられる笑顔、それらを見たいという気持ちがプライドに打ち勝ってしまうのだから仕方がない。交渉が終わるとクロームが帰ってしまうのでわざと焦らしたりもするのだが。
「ねえ、その着物、僕が気に入っていると知っていて選んだのかい?」
「うん」
「僕を喜ばせたくて?」
「……うん」
 恥ずかしそうに目を伏せるクロームにそっと近づく。
「君のそのいじらしさ、堪らないね」
 右手で細い手首を掴み、左手を背中に添えるとそのまま畳の上にクロームを引き倒す。こうなることを予想していたのか、顔を真っ赤にしながらもクロームは驚かなかった。それでも着物を肌蹴させ、直接肌に触れるとクロームは身体をびくりと震えさせた。ちゅ、と白い肌に所有印を刻みながら乱れさせた布の隙間から手を入れる。
「ふ、ああっ……」
「いいね……もっと、聞かせて」
「やあぁ」
 形の良い乳房が自分の手の動きに合わせて形を変えていく。柔らかなその感触を楽しむように愛撫すると聞こえてくる可愛らしい嬌声が、堪らなく雲雀の性欲を煽った。早く彼女と繋がりたい。急かすように、身体が熱くなる。雲雀は我慢出来ずに自身を取り出した。
「えっ……まっ」
「もう待てない」
「ひゃあああああっ……!」
「――――ッ」
 指一本触れず、慣らされていないクロームの膣内は、強く締め付けながら雲雀を受け入れる。呼吸を乱しながらも雲雀は腰を振りはじめた。強く激しい律動を繰り返しながらクロームの弱い場所に先端を強く擦りつける。
「恭弥ぁ……」
「凪」
 雲雀を求め伸ばされたクロームの手を握ると頬を伝う涙を舐め取り、唇を塞いだ。愛し、愛される喜びに浸る。らしくないと思うが、彼女とならそれも悪くない、そう思う自分がいた。


『紫陽花』


20110917


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