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 十年経つと人はこんなにも変わるものなんだ、これがクロームの彼らを見た最初の感想だった。ある程度、大人になってからの十年はあまり代わり映えのしないものかもしれない。しかし、成長期である子供にとっての十年は人の見た目と中身を大きく変える。同年代女子の平均身長を下回るクロームと十年分成長した彼らの間には何十センチもの身長差が出来ていた。見上げていた顔がもっと遠くに見えてクロームは少しだけ淋しくなった。そんなクロームの心境を知ってか知らずか、彼らはクロームの顔がよく見えるように身体を屈めた。
「十年後の世界へようこそ、クローム」
「こんにちは、ボス……」
「今のお前も十分小さいですが、十年前はもっと小さかったんですね」
「むくろさまっ」
 身体をふわりと抱き上げられ、慌てて骸のシャツを握った。大人になれば伸びるだろうと思っていた身長にはあまり期待出来ないらしい。少し落ち込んだ様子のクロームを気遣ってかけた骸の言葉から話はあらぬ方向へと進んでいくこととなる。
「愛らしさはそのままにクロームはとても美しくなりましたよ」
「悪い虫がつかないようにするのも大変なのな」
「大体、てめぇが無防備すぎんのが問題なんだ……って、今のお前に言っても意味ねぇか」
「安心して、僕が全員咬み殺してあげるから」
「極限にオレもクロームを守るぞ」
「オレも頑張りますから、若き日のクロームさん」
「おや、それはクロームの恋人である僕の役目でしょう」
「誰がクロームの恋人だ! 自惚れんじゃねぇよ!」
「いっそのこと結婚しちゃえば良いんじゃないかな、ボンゴレ十代目の妻に手を出す馬鹿はいないよね?」
「彼女を妻にするのは僕だよ」
「何を言っているんですか君たちは、クロームの夫に相応しいのは僕しかいないでしょう」
 十年経って大きく変わった彼らの唯一変わらないこと。


『十年経っても』


(みんな案外変わってないのかも)


20110723


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