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 ボンッ!
「きゃっ……」
 爆発音、立ち上る煙。少しずつ見えるようになってきた風景を少しだけ瞳を細めて見つめてみた。
「あ……、」
 クロームが小さく声を上げたと同時に彼女の前にいた彼らも同じように声を上げた。
「じゅ、十年後のクローム!」
「ボス……ここは、ボスのお家……?」
 混乱して話せる状態ではない様子の綱吉の代わりに獄寺が説明してくれた。今日は沢田家に集まりクロームの誕生日パーティーをしていたらしい。
「これじゃあパーティーがめちゃくちゃだぜ。アホ牛の奴、十代目のご好意を無駄にしやがって」
 そしてリボーンと言い争いになったランボが十年バズーカを撃ち、それがクロームに命中してしまった、と。
「随分、素敵なドレスを着ているじゃないですか」
 獄寺の話を聞き終わったクロームに話しかける者がいた。クロームは振り返り、言葉を返す。
「骸様にいただいたんです。今日のパーティーに着なさいって」
「ほお、十年後の僕に」
「十年経っても君は変態だということだね」
「何故そうなるんですか!」
「うるさいな、咬み殺すよ」
「返り討ちにしてやりますよ」
「人の家で暴れるなよ! 家が壊れる!」
「何だ喧嘩か? 極限に元気な奴らだな」
「なあなあ、五分だけだけど十年後のクロームの誕生日を祝わねぇーか? きっと十年後の世界の俺たちもこの時代のクロームのこと祝ってると思うのな」
「え……?」
「それ良いよ! 今の俺たちはまだ子供だから豪華なパーティーとかは出来ないけどさ、どうかな?」
 賛成、という声が沢山上がり、少しでもクロームの近くへ行こうとみんなが集まって来た。それと一緒にクロームが生まれた日を祝う言葉たちも集まってくる。
「ありがとう……っ」
 クロームが笑うとあたたかい涙が、片方しかない瞳から溢れた。


『五分間パーティー』


20111205


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