生きるために生きる少年という概念として
私はフェイタンを受け入れた。
私も、その一つの概念だったからである。
フェイは言葉を覚えていくにつれて
知っていることを教えてくれるようになった。
この世界の外があること。
そこは、決められたルールがあること。
人々は決められたルールに則れば
飢えることはないということ。
フィンクスは難しそうな顔をしてそれを聞いていて
実際、わたしにもよく分からなかった。
遵守されるべきルール。
奪わなくとも手に入る食料。
フェイはわたしが話す言葉の意味がわからないようで
黙って空を見つめる
いつもの体勢に入ってしまった。
フェイタンが消えたのは
初雪が降った日のことだった。