「姉ちゃん」
『ん、何?』
「この小説おもろいで。読んでみ」
『んー? うわ、また恋愛モンやんか』
「せやで。めっちゃ泣けるんや、それ」
『あー、やから昨日部屋でぐずぐず言うとったんか…きっしょ…』
「ちょ、きっしょて。傷付くやろ」
『ほな気色悪い』
「よろしい…わけないやろ」
『うるさいな、きしょいもんはきしょい。おまえそんなんやから彼女のひとりもできへんねんで』
「彼氏のひとりもおれへん姉ちゃんに言われたないわ。ちゅーか、全国の恋愛小説で涙するピュアな皆さんに謝れ失礼な」
『あんな、全国のピュアな皆さんはきしょないねん。侑士、おまえが特別きしょいねん』
「…姉ちゃんてほんま、俺に冷たいわな」
侑士姉は弟以上にローテンションな関西人
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