目を覚ますと腕のなかには名前がいて、その光景に頬が緩むのを抑えられなかった。
意識がはっきりしてきたところで改めて幼なじみを抱き締める。その小ささにどきりとした。
彼女は別に、人より特別背が低いとか特別体重が軽いとか特別力がないとかそう言ったことはないけれど、やっぱり自分と比べると背も低いし体重も軽いし力だってない。腕のなかの華奢な身体に触れていると、それをありありと思い知る。


『ん…テツくん…?』


ただただ彼女を見つめていると、ボクとよく似たふたつの目がゆっくり開けられた。少し色の薄い瞳にボクの顔が映り込んでいるのを見ると、言いようのない愛しさが込み上げてきた。


「おはようございます、名前」

『おはよ、テツくん…』


まだ眠いのか、淡い笑みを浮かべる彼女の瞼は遅い瞬きを繰り返す。無防備で少し幼い姿が愛しさを一層煽って、抱き締める腕の力を強めずにはいられなかった。


「外、雨みたいですよ。図書館には、また今度行きましょうか」

『ああ…まだ止んでなかったの…そうだね、また、今度ね…』


再びまどろみのなかへ落ちてゆく彼女を追って、ボクもまた目を閉じた。


「おやすみ、名前」





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