※2023プレショ設定
私の髪を、頬を、唇を撫でる無骨な手は確かに覚えのある体温なのに。
「どうした? 浮かねェ顔して」
低く響くその声も、記憶のなかのそれと寸分もたがわないのに。
『…何でもないの。何でも』
「そうは見えねェけどな」
『…いいの』
訝っても、私がそれ以上何も答える気がないと知っているからただただ抱き締めてくれる。
そんなところもまるっきり同じ。頭のてっぺんから足の爪先、中身までもがすべて、そう。
優雅に笑うプラチナブロンドの髪の男を思い出して、私の顔にも苦い笑みが浮かんだ。
マリオネットだって構わないと思ったのは私なのに、知れば知るほど“同じ”であることに苦しむだなんてあまりにも滑稽だ。
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