※隊士設定


『土方さん!誕生日おめでとうございます!』


バスッ!!


一瞬何が起きたのかが理解できなかった


いきなり手に何かを持って廊下の向こうから走ってきた中田

いきなり視界に何かが飛び込んできて全ての景色が奪われた

いきなり鼻についたかぎなれた匂い。に、混じるあまりかぎなれない匂い


いきなりいきなりいきなり、何もかもがいきなりすぎて脳の思考回路が一時停止する


な、んだ?これ…


そう言おうとしたが、口回りが何か柔らかいものでおおわれていて声を発することが出来ない

じゃあ一体どうすればいいんだ、俺

とりあえず状況を整理する。まず中田は「誕生日おめでとうございます!」と言いながらこっちへ来た。おめでとうございます、とは祝福のはずだから敵意はないはずだ。多分

てか今日俺の誕生日だったか。誰に聞いたんだこいつ。てか誰がこいつに言ったんだオイ

そしたら嬉しそうな歓喜に湧くような、そんな感じの声が聞こえてきた


『どうですか!?私特性のマヨケーキは!?』


マ、ヨケーキ。今こいつそう言ったのか。そうかそうか。それが分かったら大体の状況は理解できる。
まあ、あれだ、俺は今、パイ投げをされたわけか。マヨケーキを顔面にバスッ、なるほどな。そういうことか。…マジで斬ってやろうかこいつ。


かぎなれた匂いというのはマヨのことで、かぎなれない匂いというのはケーキを指すわけだ。てかマヨの匂いが強すぎてケーキの匂いがほとんどしないんだが。

とりあえず状況を理解すればするほど無性に腹がたってきたので、顔に貼り付いているマヨケーキ(皿つき)を、まず自分の顔からひっぺがす。

それでなんとか視界は取り戻せたが、しかし今俺の顔はマヨとクリームの混合物で真っ白になっているはずだ。マヨはともかくクリームは嫌だ。口回りについているのを舌で舐めとる。マヨの味の後に来る甘い味が少し不愉快だ。わざわざクリームを混ぜる必要があったのか、これ。普通に別々で食わせろよ。


俺だってまともな誕生日ケーキならちゃんと食べるのに


そして顔から剥がしたぐちゃぐちゃのケーキを怒りに任せて中田に投げつける。そしたら中田は『へぶっ!!』という謎の擬音を発しながらしりもちをついた。はっ、バーカ。



『ぶふっ!!な、なにするんですか!!』

「おあいこだろボケ。出会い頭にいきなりケーキ投げつけやがって」

『それは一種の愛情表現だからいいんですよ!!私は別にマヨラーじゃないんですから、こんなマヨ臭いケーキとかぶつけられても不愉快なだけです!!』

「マヨラーでもこんなふうにパイ投げされたら不愉快に決まってんだろ。斬られてえのか」

『またまたぁ〜…』


急ににやけた顔をしたかと思うと、中田は俺に少し顔を近づけて、そして、こう言った。




(全く、素直じゃないですね)(よーし、斬る)













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お題提供サイトリコリスの花束を様よりお題を拝借

土方さん誕生日おめでとうございます!
30分で書いた即興お祝い文でごめんなさい!


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