※隊士設定
ザシュッ!!ザシュッ!!
血飛沫が舞う。
紅く鮮やかに。
私のではない初対面の誰かのが。
嗚呼、
私はいつからこうなったのだろう。
武州に居た頃は近藤さんと土方さんと沖田くんと、そしてミツバさんと五人仲良く笑って修行して
それはとても毎日が楽しかった。
私もそこではただの一人の少女だった。
そしてミツバさんだけを置いて江戸へとやってきて真選組を作って幕府に忠誠を誓った。
「佐奈ちゃん、あの人達をよろしくね」なんて言われたのは今でも忘れられなくて
よろしくね、だなんて逆に私が皆に世話をかけてるぐらいなのに。
大切な大切な、私を支えてくれている人達。
そして私はそんな大切な人を護るために誰かにとって大切な人を斬っているんだ。
いくら攘夷志士だとはいえいくら敵だとはいえこの肉片と化した男達を家で待つ者達は何人居るのだろうか。
そしてその家族はこの血にまみれた愛する人を見てどう思うだろうか。
憎む?悲しむ?嘆く?私には分からない。
少なくとも私がその立場なら耐えられないだろう。
そう考えて私は人を殺す。
私達の正義のために。
ごめんね、ごめんね、
なんて私の甘い所だ。人殺しなんて悪いこと。それを私は正義のためにするんだ。他の人にこんな悪いことはしてほしくない。傷つくのも汚れるのも私だけでいい。これが私の正義だってかっこつけてるわけじゃないけど。護りたい。
「何考え事してんでィ」
私と同じ正義を持った人が真選組には集まる。沖田くんも同じだ。お互いに背を預けて任せて敵を斬る殺す。十数人居た敵もあと僅かだ。半分は私の獲物半分は沖田くんの獲物。きっと私の後ろ半分では私の視界に映る光景が全く同じ風に広がっているのだろう。似た者同士。決して相手の範囲へは踏み入れず目線すらも向けはしない。信頼。信じないとこんな極限の状況で背中を任せるなんて出来ない。
私と沖田くんは年が近いせいか相性が良かった。一番隊隊長の沖田くんにそれの補佐な私。常に一緒に戦い続けた。姿なんて見えなくても気配で分かる。刀が空気を斬る音も敵の断末魔も全て同じタイミングで鳴り響く。
これが正義。これが正義なんだ。躊躇いなんてとっくに捨てた。人を斬った後に残るのは罪悪感じゃなく感謝。
あなたたちを殺して私の正義は成り立ちます。
ごめんね、踏み台にして。いくらでも私を恨んでください憎んでください。
それでも私は正義を通すから。屍、亡霊、怨霊、憎悪なんかに恐れたりはしない。ねえ、そうでしょう?
『沖田くんっ!』
「な、んでさァ」
息も切れ切れに敵を斬りながら攻撃を避けながら、反対方向を向きしかし近い距離にいる二人は言葉を交わす。
『ありがとう』
「バカ言ってんじゃ、ねえやい!」
『ふふふ、』
仲間がいるから私は正義を突き通せる。
同じ志を持っているから背中を任せられる。
信頼しているから共に戦える。
護りたい人がいるから私は人を殺せる。
ありがとう
そう思い刀を振るった。
背中合わせの二人
(顔は見えないけど弱点を守りあえる仲なんだ)
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お題配布サイト リコリスの花束を 様よりお題をお借りしました。
初のお題チャレンジ、楽しかったです^^
だがしかし、それにしても駄文ですね。
まずお題が甘のはずなのにシリアスになってしまった件。
うう、ごめんなさい。
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