そういえば、とオキタさんが切り出した。



「どうして俺は生きているんでィ」

『生きてるからなんじゃないの?』

「バカかお前。んなのは知ってまさァ。俺が聞きたいのは、なんで助かったかってこと」

『私が受け止めたから?』

「、は?」

『えーっとね、空を見たら誰か人が降ってくるのを見てびっくりしてあのままじゃ死んじゃうと思って、走って飛び込んで受け止めた。だからかな?』

「…どういう意味でィ」

『だから、今言ったままの意味だよ?』

「受け止めた、ってお前がか?」

『うん』

「なんで」

『だから死んじゃうと思ったから』

「違う、なんでお前は俺を受け止めれたんでィ」

『え?』



オキタさんって変な事言うんだね。なんでって言われたって滑り込んで受け止めたからなのに。そりゃあ高いところからふってきたからびっくりしたけど、一応ちゃんと受け止めれたよ。まあ走った勢いで飛び込んだから抱き抱えたまま何回転かしちゃったけど。う、気分悪い



「やっぱあんたは普通とは違うんですねィ」

『え?違うの、私?』

「当たり前でさァ。普通ならあんな高いところから落ちる人を受け止めるなんて出来ないですぜ。タイミング的にも重さ的にも」

『そうなんだー』

「受け止めることが例え出来たとしても、どっちも大ケガするのが普通でさァ」

『普通って変わってるんだね』

「変わってたら普通じゃねえよ」

『あ、れ?なんか混乱してきた』

「頭が悪いだけだろィ」

『ひどいよ』



オキタさんはにやりと笑った。なんだか嬉しそうだな。いや、私も嬉しいけど。だって人と話すなんていつぶりだろう。あ、パパが死んだときかな。あれっ、パパが死んでからもう何年たつんだろ?忘れちゃった。

そんなことを考えていたら眠くなってきた。そうか、いつもならもう寝ている時間だ。うう、眠い



『……』

「?眠いのかィ?」

『……うん。ふわぁーあ…』

「おい、寒いからその毛皮よこしなせェ」

『はい、……』



あ、そうか。オキタさんびしょびしょだから寒いんだ。まあ別に私布団なくても寝れるからいっか。

うーん…眠……いなぁ…








































すぐにスースー、という規則正しい呼吸が洞穴内に響いた。なんだ、もう寝たのかこいつ。いつの間にか佐奈は地面に小さく丸まって横たわっていた。腕と足が布に包まれることなく裸のまま投げ出されている。いや、別に、欲情したとかじゃなくて

さすがにまだ眠くはなかった。空も日が沈んだばかりのようでうっすらと明るさが残っている。日が沈むと同時に寝るとか、じじいかこいつは。こっちは全く眠くないというのに


しかし何もすることがなく仕方ないので俺も寝る体勢に入った。さっき貰った毛布代わりの毛皮を羽織り少し凹凸のある地面へと寝転がった。と、同時に背中の傷が少し傷む。まあこのぐらい放っておいたらすぐに治るだろう。

全く眠気がしないと言ったが、やっぱり疲れていたんだろう。横になったら少しうとうととしてきた。体は雨で湿っているが洞穴が暖かいお陰で寒いとは感じない。毛皮の厚さもちょうどよかった。


そして俺は眠りへと落ちていった




続く→


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