「なあ、佐奈って好きな奴とかいますかィ?」

『い、いないよー』




いつもこいつはこう答える



でも知ってるんだぜィ?

あんたが俺を好きだってことぐらい






佐奈とはずっと同じクラスで同じ風紀委員会

そしてその委員会の用事で今は教室に2人っきり


またとないチャンス




『ついてないよねー、2人だけで仕事だなんて。こんなにいっぱい今日中に出来ないよ』

「口動かすより手動かせっつーの」

『……はーい』




そう、今は、この目の前に山のように積まれている何に使うかよく分からない書類のホッチキス止めの真っ最中

だけどそんなことはどうでもいい






「よし、じゃあ、お前の好きな奴を当ててやろーか?」

『えっ、まだその話続いていた感じ?』

「お前の好きな奴はー……」

『ちょっ!言わんでいい!言わんでいいから!むしろ言わないで下さい!』



焦ったようにそう言って、俺の言葉を頑張って遮ろうとする

ちょっとからかうとこれだ

だからこいつといると飽きないんでさァ




『じゃ、じゃあさ……』

「なんでさァ、気持ち悪い顔しやがって」

『ひどっ!』


なんて嘘


「で、なんなんですかィ?」

『いや、沖田君っていつも私の好きな人を聞きたがるけど、』

「そんなに聞いてねぇや」

『いや!聞いてるから!びっくりするぐらい聞いてるから!』


そんなに聞いてやしたかィ?


「嘘はよしなせェ」

『嘘じゃないし!……もういいや、じゃあ本題に入るけど、



……沖田君こそ好きな人とかいるの?』



なに言ってんでさァ、それは



「気になるんですかィ?」

『べ、別に……』


俺が好きなのは


「そんなに気になるなら、自分で考えたらいいじゃねぇか」

『なにそれ』

「はーい、シンキングターイム」

『えっ、なに、私が沖田君の好きな人を予想して答えないといけないの?』

「もちろんでさァ。あっ、ちなみに外したらお前の好きな奴教えろよ」

『ちょっ、嫌だし!』

「拒否権なんてなーし」

『なんじゃそりゃァァァ!!!!』



なんやかんや文句を言いながらも、真面目に考え出すのがこいつらしい

なにやらブツブツ言いながら真剣に悩み始めた







『えーっと……。あ、お姉さんとか…………、さすがに違うか……』


もちろん違いまさァ


『じゃあ……、土方君?…………いや、ないない』


ブッ飛ばすぞコノヤロー


『神楽ちゃん……、も違うかな』


なんでだんだんあり得ないほうにいくんでさァ


『沖田君ファンの人はたくさんいるけど…………、うーん』


違うっつーの。なんでそんなに鈍感なんでィ






俺の好きな奴は、俺の目の前に、






「はい、シンキングタイムしゅーりょー」

『えっ、早っ!』

「さあ、当ててみなせェ」

『………………』

「……仕方ないですねィ。特別大サービスとして、ヒントをあげまさァ」

『ほんとっ!?』




特別鈍いあんたへの特別な大ヒントでさァ




「一回しか言わないからよーく聞いてくだせェ。



……俺の好きな奴は、家族でも俺ファンの中でももちろん野郎でもなくてずっと同じクラスで同じ風紀委員会ですごい鈍感で俺のことが好きな奴で今ごろ俺の好きな奴を当てようと必死になっている、そんな奴でさァ」








『っ………………!』







これだけ言えばいくら鈍くても伝わるだろう


当てはまる奴なんて ただ一人だけ



「はい、こんだけのヒントを元に当ててみなせェ」

『い、いや…………あの…………その………………』

「ざーんねん、今度こそシンキングタイム終了でさァ。
じゃあ約束していた通り、



……佐奈の好きな奴、教えなせェ」

『うっ………………』





もちろん拒否権なんてない

ほら、あんたなら言えるだろ?





(その言葉が聞きたかったんでさァ)















――――――――――――


ユウキ様へ!


『沖田が主を溺愛しているor片思い』という設定でしたが…………、どうでしょうか?

期待に答えられない駄目文才しか持っていなくてごめんなさい


3Z設定なのは個人的な趣味です

なんか沖田って絶対に自分からは告白しないだろうなー、と思って書いた文です

それでは、キリリク本当にありがとうございました!

ユウキ様のみお持ち帰りOKです(^-^)


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