どうにも喜べない。まあいいかと妥協することもかなわない。まるでこちらのことを考えていないかのような物言いで彼はうまく人の不快感をあおる。
「ミセナイくーん」
「三重内」
 そう返して教科書を手に立ち上がると、彼はまるでボールを受け止めるときのようなしなやかな動きで行く手を阻む。払い除ける仕草が彼にまったくもって効果がないことは今までの経験からすでに立証されていたため、無理矢理押し退けてやった。
「ああ……ミセナイの愛が見えない」
「ないものは見えないから」
 目がよくなったんだろう。だったらもっとよく見たらいい。簡単にはミセナイけど。
(三重内と影浦)



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