そうなるものならとっくに溶けてしまっている。絡み付く舌は、もう形を成していないのではないかとさえ思えた。
 唾液なのか汗なのか判断のつかない液体が唇の間でみっともない音を立て、そのまま頬を伝って落ちる。覆い被さる彼に抗う術はない。仮にあったとしても、それは最善ではないに違いなかった。
 必死になっていた唇が小さく声を漏らす。前髪の隙間から一瞬見えた目が馬鹿みたいにギラついていて、それがやけに脳にこびりついた。
 彼の頭を抱き込んですがるような声を出す舌に吸い付く。いつの間にかアイガードは外されていた。
 もっと欲しがってくれたら、好きだと言ってくれたら、全部見せてやる。その時は汗の一筋まで全部、手に入れてやろうと思った。
(影浦と三重内)

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