パレット一面の淀んだ絵の具。俺は最初の色を知っている。確かあの空に似ていた。
 吐き出せない物がキャンバスを汚して、何も吐いていないのに俺はこれ以上失えないくらい軽くなってしまった。美しくなるはずだったんだ。
 窓越しに空を睨む。灰色。誰かと見たような気がするあの空を思い出したくて、俺は目を伏せた。最初の色なら知っている。綺麗な虹を描きたかった。
(絵嶋)



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