やっすんが犬の糞を踏んだ。俺は困った顔をしてみせる。
 街で桃ちゃんがナンパされた。俺は驚いてみせる。
 見聞きしたすべてを与えられて俺は肥大していく。それでも箱庭は変わらず小ささを保ち続ける。
 ねえ紫頭。俺は頷いた。
 僕のことどう思ってる?
 俺は頷いた。
 そうじゃなくて。俺は俯いた。
 箱が悲鳴をあげる。この先を知ればすべてが駄目になる。この箱の中でいい。俺の居場所はここだ。
 紫頭、す
 耳を塞いだ。これ以上は要らない。でもきっといつか、空腹に苛まれ両手を外してしまうのだろうと思った。狭い世界であなたを餌に生きる。
(紫頭と黄整)


|
「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -