「引き分けかー」
「うん。なんかすごかった」
「はあ……」
「どうしたの?」
「終わっちゃうんだねー」
「もう終わってるよ」
「そうだけどさ。ところで絵嶋」
「さっきからキュポキュポうるさいんだけど」
「僕も同じこと言うつもりだった」
「ん? ああ、わりといいよこれ」
「何がだよ」
「ちゃんと試合見てたの?」
「見た見た。お前の渾身のシュートがゴールネットを揺らす様をしっかりとな」
「いや、僕出てないし」
「適当言うな絵の具魔神」
「中学校生活最後にそんなあだ名がつくとは」
「懐かしいよねー。そういえば新聞部にさ、円堂くんが来たんだよ」
「帝国が来るちょっと前だっけ?」
「うん。円堂守のプリンター破壊事件」
「何それ!?」
「あれは……話聞いたときうけたな」
「いやもう当時は笑い事じゃなかったんだよ! あんなとこにある配線につまづくなんて……」
「囲碁部にもね、来たんだ。みんなが対局中に」
「うわー、続き言わなくても分かっちゃった」
「あと絵嶋くんの絵もひっくり返してたね」
「あれは俺の責任だな。仕方ない」
「卒業してから自覚してもらっても遅いんだけど」
「あと漫研だな」
「何かあったのー?」
「机に置いてあったネーム……っていうのかな。あれ勢いよくばらまいちゃって」
「拾うの手伝ったんだけど……なあ」
「うん……なんか」
「なになに?」
「エロマンガだったな」
「だったね」
「……あ、なんか話してるよー」
「最後の一言だって」
「今日の格言!」
「あはは、何それ」
「……」
「……」
「……」
「……うん」
「僕結構好きだな、サッカー」
「なあ、まだ終わってないよな」
「うん」
「やろっか」
「終わりじゃないんだよ。あいつが……円堂がまだ繋いでる」
(田中と白間と絵嶋)
(最終回。卒業おめでとう。)




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テーマ「人外ファンタジー」
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