何時の間にか雨は止んでいたの続き



出会いは、どんな風だった?
そうきかれ、二人顔を見合わせた。もちろん、覚えている。それはもうその日の朝何時に起きて何を食べ、何を考えていたかまでも鮮明に。しかしあぁこの出会いを、想いを、どうやって伝えれば良いのだろう。人生に数度もないに違いないあの瞬間を。
しかしそれを言葉にする事は酷く難しくて、伝えたい事はどうやっても巧くまとまらず無計画なまま口から溢れる。


「ダークライは私にとって白馬に乗った王子様で、私が生きる為には絶対的に彼が必要なのよ。彼は私の心の一部で、やっと出会えたの。彼に出会うまでをどうやって生きてきたのか分からないくらい。もしかしたら数百年も待ち続けていたのかも。」


出会いについて聞いたのだけれど、と私の大げさ過ぎるかもしれない言葉を聞いて(私にとっては大げさなんて事は全く無いのだけれど)その質問をした友人は苦笑した。彼女の隣で彼女のガブリアスが楽しげに笑った。からん、と手の中のカップの中で氷が溶けた涼しげな音がした。
最後の方は只の惚気だったわと呆れた様に言う友人に少しだけ申し訳なく思ったが、事実なのだからどうしようもない。


「私はダークが救ってくれたから今ここに生きているのよ」


少しだけ、心がきしんだ。それがちゃんと分かったのか、横にいて黙って私たちの話を聞いていたダークライが私の頭にぽんと手をのせた。じんわりとそこから暖かいものが広がってゆく気がした。
もう、心は痛くない。にへら、と顔が緩んでいくのが止められない。あぁ、私は今きっと、とても幸せなのだ。



昼下がりのお茶会


(依存している、と言われてしまえばそれ迄だが、私には二人の関係があまりにも美しく見えたのだ)



090826







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