(フシギソウ)


「無理をしているようにしか見えない」
「――、そんなことはないさ」

少しずつ明るみがかる空を見つめながらフシギソウは呟いた。主である彼女の後ろ姿に向けて。その言葉に振り返った彼女もどこか哀しそうに微笑んでいた。ように、見えた。

「みんな、感じている」
「…気のせいではないのかな」

呆れた様に笑う主の姿に、フシギソウは首を振る。

「そんなはずは、ない」

まっすぐに前を見つめるその視線に、彼女はくしゃりと髪をかきあげた。

「なんで、お前も、あいつも、」

そんなことを言うの。
その声はどこか苦しそうで。助けを求めているようで。
フシギソウは唇をかみしめる。どうしてこんなことになったのか、知っているのだ。どうして彼女が苦しんでいるのかは、フシギソウも、よく知っていた。
けれど、だからこそ助けられないという事も、理解していたのである。



貴女はいつもそう

091013










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