しあわせなひと





「っ、あー…しあわせ……」
「……」
「しあわせ。俺すごくしあわせ」
「…まこ、ちゃん…」
「あーもう…しあわせすぎて溶けそう。大好きだよ透」
「……」

動く度にまこちゃんが私のなかに入って来る。私のなかは蠢き彼に食いつく。離さないとでもいうように。
熱い息、かかる。汗と一緒にぽたりと落ちる。
セックスってこんなに必死なんだな。まこちゃん苦しそうだし死にそう。私も大概死にそうだけど。
なのにまこちゃんはさっきから「しあわせ」しか言わない。
死にそうな顔して、「しあわせ」って言う。

「俺ほんとしあわせだよ。ありがとう透…」
「っ…」

ずんって深く入ってきて私はのけぞった。その首にまこちゃんが覆いかぶさって来てキスをする。キスっていうか吸う? 噛む? ちりっと痛くて体中が痺れる。こういう種類のキスがあるなんて知らなかった。

「透、透、大好き」

ずる、って引いて行くまこちゃんに、私の体は切なくて震える。

「透、可愛い。…もっと可愛がっていい?」

もっと?
今より上があるなんて信じられない。

「…やだ。こわい。どうにかなっちゃう」

ぐずぐず泣きながらまこちゃんを見上げたら、まこちゃんの目が柔らかく潤んだ。

「……透はほんっっっっとーに可愛いね」

私の中から抜く時にたっぷりの水の音。恥ずかし過ぎて目を瞑った。
また先っぽだけ入って来て、入口を広げるように掻き回す。

「や…」
「透。ねえ透」
「まこちゃ、それ、や」
「すごい。飲み込まれそう。…そんなに俺が欲しい?」
「…っ、やだ、まこちゃん」
「可愛い。透、可愛い」
「まこ、ちゃ…っぁ!」

いきなり胸を摘まれて、思い切り腰跳ねた。その途端にまこちゃんが今までで一番深く入って来て、私は思わず悲鳴を上げかけて──塞がれた唇からまこちゃんが声を全部吸い取ってく。

「透、可愛い。透、大好きだよ」
「…っ、…」

息するだけで精一杯だよ。もうほんと死んじゃいそうだよ。しゃくりあげて泣くしかできない私の上で激しく動いてるまこちゃんはやっぱりすごい。つよい、体力ある男の子だ。

「…ああ、俺、ほんとしあわせ」

またまこちゃんが、私の耳に直接、吐息と一緒に呟きを注ぎ込んできた。うっすら目を開けると、汗でいっぱいで苦しそうな顔したまこちゃんがそれでもすごくやわらかく微笑んで私を見ていた。
しあわせそう、だ。確かに。苦しそうなのに。
まこちゃんはこんな顔もする。初めて知った。
それはきっとお互い様だ。私、今こんなものすごい体勢になってて顔もぐちゃぐちゃだしさっきから死にそうな変な声しか出してないし絶対可愛くなんかない。みっともない。それなのに私を見るまこちゃんの目にははっきり「可愛い」って書いてある、思いっきり。
──まこちゃん。まこちゃんって絶対変だよ。趣味おかしいよ。
いつもみたいに笑ってそう言いたかったのにできなかった。なぜか泣き出してしまったから。

「…透」

私が泣いてもまこちゃんはいつもみたいに慌てたりしないで、優しいキスをいっぱいくれた。


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