「……また、か……」
ふと目を覚ますと、まったく見慣れない光景が視界一面に広がった。
座り込んで凭れる形になっていたビルから背を離す。見るからに鋼鉄製の素材で出来ているだろうその建物は、思っていたより冷たくなかった。コレがいったいいつから私の背中を守ってくれていたのかは定かじゃないけど、私の体温がビルに移るほどの長時間ではなかった筈だ。
思えば、気付けば知らぬ場所にいるなんてふざけた状況に私も慣れたものだ。慣れた、というか慣れざるを得なかっただけともいうのだけど。ともかく無駄に冷静を欠くことがないだけマシと思わねばやっていられない。
最初はサテライトと呼ばれた廃墟群、次はあそこと同じ名前の、けれど別の街。そしていまは――――
「わりと普通の街……だと思っていたかったな……」
ああ、と嘆息。立ち上がりながら空を見つめれば、人影が幾つも浮遊していた。
人影はどれもサーフボードのようなものに騎乗していて、細いオーロラの上を滑空している。オーロラの筋は空中に幾つも描かれていて、まるで何かの道かお洒落な飛行機雲のようだ。なんだこのSF感。
それだけで、私の知る世界のいずれにも該当しないことが判然とする。些か寂寞を覚えなくもなかったが、落ち込んでばかりいても仕方ない。とにかく動いて、己の現状を把握しなければ。
ざっと見渡した限り、空のあれそれ以外はこれといった異常もない。ちょっとした都市めいたビル群が立ち並ぶ景色には、ちらほらと真っ当な人影も見られた。……真っ当といっても、皆どこかゲームめいたハイカラさを併発していたけれど。いまは言葉が通じそうな人型であるだけありがたい、と思い込む。
「……っよし!」
ぱん、気合いを入れるために両手で頬を叩いた。
――直後、ドカン、と背後のビル群が爆発した。
冗談でも思いたくないけれど、私の気合い注入に呼応したようなタイミングの良さだった。
「んな―――ッ!?」
倒壊するビル。
飛び散る瓦礫の雨。
目覚めて早々の大ピンチに絶叫する私。
思考よりも生存本能の方が迅速だった。口からは無意識に叫声が漏れ出していながらも、無心で全力の逃避行動。近くに偶然居合わせていた人々も急ぎ足で一様に同じ行動を取り始める。誰もが危険地帯から離れることが第一で、特に行き先などは考えていなかった。落ちてくる瓦礫にぶつからなかったのは僥倖としか言いようがない。
ともあれ、私は何とか無事に生存を果たした。ひとまずの安全と距離を確保した後、いったい何が起こったのかと背後を顧みる。
「……ヒト?」
やっぱりサーフボードによく似たものに騎乗した人物が、忽然と空中に佇んでいた。顔の上半分を覆い隠すような仮面を付けているため、人相までは窺えない。
その傍らには私もよく知るデュエルモンスターズの姿もあった。あれは確か――天使族の≪マスター・ヒュペリオン≫。
仮面の男が腕組みし、声を一面に轟かせる。
「プレイメーカー! 何処にいる! 出てこなければ、こいつらがどうなるか分からんぞ!」
プレイメーカー? なにそれ、新しいモンスター?
男の言葉に首を傾げているのは私だけだった。周囲の人たちは口々に「ハノイの騎士だ」「どうしてこんなときに」「プレイメーカーまだかよ」「この際GO鬼塚でもいいよ」と騒ぎ立てた。一人として男に立ち向かおうとしていないのは一目瞭然で、他人に救いを期待して縮こまっている。
己が言葉に世界が反応を示さないのを確かめると、男はふいにこちらを睨めつけた。誰もが一斉に首を縮める。
「……よかろう。ならばもう少し見せしめを用意するだけだ」
男とモンスターがこちらに近寄ってくる。
逃げ出す者はいない。いや、逃げ出せないのだ。いまの人々はまさに蛇に睨まれた蛙。恐怖に足が竦んで動ける者など一人だっていなかった。
――――それは、無知な私を除いての話だったけれど。
「待ってください!」
声を出すと、周囲がざわめいた。私は人混みを掻き分けて、群体の前線へと泳ぐ。ほとんど押し出されるように彼らの前に出ると、すぐそこまでやってきていた男を間近で見上げる形になった。
男は怪訝な顔でこちらを見下ろす。
「なんだ、おまえは。プレイメーカーではないな。誰だ?」
「……それは、こちらの台詞です。貴方こそ誰ですか。いきなり現れてビルは壊すわ、物騒なことしか言わないわで。この世界に対する私の第一印象最悪なんですけど」
恐怖がなかったと言えば嘘になる。けれど、激怒したカイトさんより怖いものなんてないから、退く理由にはならない。
背後の人々が奏でるざわめきがますます大きくなった。男へ口答えする私が信じられないらしい。
男は口をへの字に曲げ、不機嫌な空気を醸し出した。
「ハノイの騎士を知らぬとは、いったいどこの田舎からやってきた?」
「どこだっていいでしょう。とにかく、誰かを探してるならもっと真っ当に探してください。無関係の人を巻き込むなんて言語道断です」
「――は。なるほど」男の口元に歪んだ笑みが浮かんだ。「そいつらを庇って、正義の味方気取りか」
そいつら、とは―――私の後ろにいる人々のことだろうか。彼らは依然男に対して怯えを露にしていた。
……正義の味方なんて気取ったつもりはなかったけど、そう見えたならそれでもいい。
右腕と右目の調子をさりげなく確かめる。よし、ちゃんと動く。流石メイドインカイトさん。異世界だろうと問題なく機能してくれる。
「だったら、―――どうしますッ!」
「何!?」
義手のデュエルアンカーを男に投げつける。
すぐにデュエルアンカーを燐光として霧散させる。これで相手は逃げられない。ついでに視界もARビジョンに切り替えておいた。
「おまえ、何をした!?」
「これで貴方は、デュエルしなければ私と離れることは出来ません。たとえ私が死んでもね」
「……ふん、良い度胸だ。いいだろう、スピードデュエルで受けて立つ!」
「いや待って!? スピードデュエルって何!?」
私が聞き慣れない単語に泡を食っている間に、男は泰然と上空へ浮かび上がっていった。オーロラの一つに乗って流れていった彼をポカンとして見送るしかない。
……スピードデュエルって、何ですか。
どうしよう。この世界独自のデュエルルールとかだったら、めちゃくちゃやばい。ここまでやっておいていざ出来ませんなんて、カッコ悪すぎるどころの話じゃないぞ。私がへたに喧嘩を売ったせいで、後ろの彼らにまで危害が及んだなんてことになったら末代まで悔やんだって足りやしない。
「……あ、あの。もしかしてD・ボード持ってないんですか?」
どうしようどうしよう、と思索を巡らせていたら、一人の少年が声を掛けてくれた。
ネトゲだったら間違いなく無課金認定されそうな装いの彼は、例のサーフボードを私に差し出した。
「よかったら、僕の使ってください」
男は度胸、女も度胸! 人間やってやれないことはない!
「――だからって、何でデュエルするのにサーフボードに乗る必要があるんだよォ!」
分からねえ! 私には何も分からねえ! 以前見たD・ホイールも大概だったがサーフボードもいい勝負だ!
空に走るオーロラの筋は、どうやらこのサーフボードで乗ることができるらしい。あの少年に貸してもらったサーフボード――正しくはD・ボードというらしい――をなけなしの運動神経で駆って、どうにかあの男に追いついた。
「ふはは、本当に来たか。ハノイの騎士に喧嘩を売るだけのことはある。その大胆さは褒めてやろう!」
「こんなことで褒めてもらいたかねーですよ!」
デュエルアンカーを付けた以上、私からも離れられないだけのことだし! ぶっちゃけ逃げられるなら逃げたかった! あと普通のスタンディングデュエルがよかった!
下を見れば足が竦んでしまうので、意図して前だけを見つめる。もはや私たちの高度はビル群の額あたりまで行き着いてしまった。こんな高所でデュエルしている奴らの気が知れない。
「さっさとやりますよ! 私、とっとと地に足付けたいんで!」
「いいだろう。こちらも雑魚に気を割いている余裕はないのでな」
「「デュエル!」」
……あれ?
いま一瞬だったからよく見えなかったけど、私の表記だけ変じゃなかった?
「俺が先攻だ! 《創造の代行者 ヴィーナス》を召喚!」
確かめる間もなく、相手のターンから始まった。口惜しいが、確認は後に回そう。
……というか、あの男、いまドローしなかったような。私の見間違いか?
創造の代行者 ヴィーナス
☆3/ATK 1600/DEF 0
無機質とも取れる無表情で、黄金の天使がフィールドに舞い降りる。
「《創造の代行者 ヴィーナス》の効果発動! 500LPを払うことで、手札・デッキから「神聖なる球体」1体を特殊召喚する。来い、二体の≪
☆2/ATK 500/DEF 500
ヴィーナスの傍に、半透明の白い球が護衛のように侍らされた。
≪マスター・ヒュペリオン≫を目にしたときからうっすら分かってはいたけれど、ここに来て確信を得る。相手のデッキは恐らく『代行者』だ。いまのデッキでは決して相性が良いとはいえないけど、始まってしまった以上はやるしかない。
……ん? え? あれ? 2体でいいの? フルで3体出さないの?
っていうか、なんかモンスターゾーン狭くない? そしてこの一ヶ所だけ出っ張ったモンスターゾーンは何?
「現れろ、我らの未来回路! 召喚条件はモンスター2体以上。俺は
電光を纏いし白銀の騎士が、相応しい名馬と共に戦場へ馳せ参じた。
電影の騎士ガイアセイバー
リンク3/ATK 2600
【リンクマーカー:左/右/下】
「――な、なにそれぇ!?」
リンク!? リンク召喚!? なにそれ私知らない!
変異したモンスターゾーンといい、この奇天烈な召喚方法といい――私の知るデュエルとは根本的なルールが違いすぎる。やばい、やばいぞ。このデュエルって、ちゃんとエクシーズ召喚できるのかな……!?
「ターンエンド! 次はおまえのターンだ!」
先を走っていた男が軽く反転し、嘲笑を口元に滲ませた。
「早く地上に戻りたいんだったな? 今すぐサレンダーしても構わんぞ?」
「っ誰がサレンダーなんてするもんですか! 私のターン、ドロー!」
よし、ドローは問題なくできる!
意識して、深く呼吸する。
……リンク召喚には驚いた。でも名称は違えど、特殊召喚方法の一つに過ぎないはず。なら私のやることは依然変わらず、落ち着いて勝利を目指すだけだ。
「……モンスターをセット。カードを一枚伏せます。私はこれでターンエンド」
「はは、威勢のわりには静かな立ち上がりだな! 手札事故でも起こったか? ――俺のターン、ドロー!」
男はドローカードを一瞥した。続いて、モンスターゾーンに一枚置く。
「≪奇跡の代行者 ジュピター≫を召喚!」
むくつけき紅の天使が、ヴィーナスの隣に並んだ。
奇跡の代行者 ジュピター
☆4/ATK 1800/DEF 1000
「さらに手札から≪幸運の鉄斧≫を≪ジュピター≫に装備! そしてカードを一枚セット!」
奇跡の代行者 ジュピター
ATK 1800→2300
「バトルだ! ≪電影の騎士ガイアセイバー≫で、おまえの伏せモンスターへ攻撃!」
伏せられていたモンスターが、騎士の攻撃に伴って正体を現す。
それは小柄な、金髪の乙女だ。深紅のドレスを身に纏い、憂いを帯びた双眸で相手を見据えている。
☆1/ATK 800/DEF 800
守備力が800の彼女では、攻撃力2600もの騎士の一撃に耐えられる道理がない。
儚い悲鳴をあげて散っていった彼女を、私はしっかり見届けた。
「続けて《ヴィーナス》、≪ジュピター≫でプレイヤーにダイレクトアタック!」
「ぐう……っ!」
……大丈夫。まだ戦える。
気持ちだけ前向きでも、厳しい状況であることは変わらない。相手の場には、モンスターが三体と伏せカードが一枚。二体のモンスターは下級だけど、あのリンクモンスターとかいう≪ガイアセイバー≫が厄介だ。下手な最上級モンスター以上の攻撃力は看過できない。
そして、あの伏せカードにも注意しなければならないだろう。あれがブラフかそうでないかまでは想像するしかないが、使われるタイミング次第では命取りになる。
「ターンエンド! 風前の灯火なりに、せいぜい足掻いてみるんだな!」
いま気付いたのだが、もしかしてスピードデュエルにはバトルフェイズ後のメインフェイズがないのだろうか。だとしたら、相手が一度目のメインフェイズに伏せカードをしたのも頷ける。
何もかも、私の知るデュエルとは違う。
それでもこれは、私の知っているデュエルだ。
「……私のターン! ドロー!」
一念を込めたドローは、デッキからの応答そのものだった。
引き当てたカードを目にして、内心でガッツポーズを決める。
勝ち確とまではいかないけれど、勝利への道筋ぐらいは見えてきた。
「私は墓地の≪
ギガプラント
☆6/ATK 2400/DEF 1200
大木とも化物とも取れる、歪なモンスターが産声を上げた。
その異形を前にして、相手は少しだけ後退したようだった。確かに万人受けする外見ではない。
「特殊召喚した≪ギガプラント≫を再度召喚。デュアルモンスターの≪ギガプラント≫は再度召喚することで、自分の手札・墓地から昆虫族または植物族モンスター1体を選んで特殊召喚する効果を得ます。私は手札の≪ローンファイア・ブロッサム≫を特殊召喚!」
ローンファイア・ブロッサム
☆3/ATK 500/DEF 1400
ギガプラントの体内から、朱色の蕾が蔓を伸ばす。そうして、果実はずるりと場に落ちた。
「≪ローンファイア・ブロッサム≫の効果! 1ターンに1度、自分フィールドの表側表示の植物族モンスター1体をリリースして、デッキから植物族モンスター1体を特殊召喚する。私は≪ローンファイア・ブロッサム≫自身をリリース! ≪アロマージ−ベルガモット≫を特殊召喚!」
アロマージ−ベルガモット
☆6/ATK 2400/DEF 1800
赤髪の青年が、ギガプラントの隣に勇ましく並び立つ。異形の自分にも怯えることのない存在に、ギガプラントは少しだけ嬉しそうに蔓を揺らした。
「どれだけわくら葉を並べようが、≪ガイアセイバー≫の攻撃力には及ばない!」
相手の野次に耳を貸す必要はない。私はただ、私にできることをするだけだ。
「リバースオープン、≪偽りの種≫! 手札からレベル2以下の植物族モンスター1体を特殊召喚します。おいで、≪コピー・プラント≫!」
コピー・プラント
☆1/ATK 0/DEF 0
「そして≪コピー・プラント≫の効果。1ターンに1度、このカード以外のフィールド上の植物族モンスター1体を選択し、このカードのレベルはエンドフェイズ時まで、選択したモンスターと同じレベルになる。私は≪ベルガモット≫を選択します」
コピー・プラント
☆1→6
うごうごと身を揺らすだけだった蔓の生き物は、その蔓を伸ばし、やがて≪アロマージ−ベルガモット≫の姿を真似た。赤髪の青年はそれを気持ち悪がることもなく、むしろやるじゃないかと称えるように自分の似姿の肩を叩いてみせた。
これで私の場にはレベル6のモンスターが3体並んだ。細工は上々、あとは我らわくら葉の仕上げを御覧じろってんだ。
「レベル6のモンスター3体でオーバーレイ! エクシーズ召喚! 峻厳なる騎士よ、我らが敵を打ち払え! ランク6、≪妖精騎士イングナル≫!」
妖精騎士イングナル
ランク6/ATK 2200/DEF 3000
よかった! ちゃんとエクシーズ召喚できた!
降臨した深緑の騎士を前に、相手はやや怯んだ様子だったが、何故かすぐに大笑し始めた。
「ふ、ふふ、ふははははははは! エクシーズ召喚、エクシーズ召喚だと!? まさかそんな時代の遺物をこの目で拝める日が来ようとはな! 雑魚を相手にした甲斐があった!」
「はあ!? エクシーズ召喚が遺物!? そんなわけないでしょ、アンタいつの時代の人間!?」
「おまえこそ、そんな時代遅れの召喚法を使うなど原始時代の生まれか?」
だいたい、と男はさらに笑い声を響かせる。
「そんなに手札を消費してまで出した苦労の賜物が、攻撃力2200? ≪ガイアセイバー≫どころか≪ジュピター≫にも及んでいないぞ! エクシーズ召喚が時代に取り残された理由も分かろうというものだ!」
「ッ本当に時代遅れかどうか――その目で確かめてみろっての! ≪妖精騎士イングナル≫の効果! このカードのエクシーズ素材を2つ取り除いて、このカード以外のフィールド上のカードを全て持ち主の手札に戻す!」
「何!? ――と言うとでも思ったか?」
男の指が、あの伏せカードに伸びる。
だが、それは一歩遅かった。
「カウンター
「残念でした! ≪イングナル≫の効果の発動に対して相手は魔法・罠・効果モンスターの効果を発動できない!」
「な―――何いいぃ!?」
言ってんじゃん、と笑ってやる余裕はなかった。
何せ、≪天罰≫は『効果モンスターの効果の発動を無効にし破壊する』という強力なカード。≪
このコンボを成立させられたのは、私の実力じゃない。相手のプレイングミスによるものだ。
「ご自慢のリンクモンスターも天使たちも、ぜーんぶ手札に戻っちゃえ! あ、ついでにその中身が割れた伏せカードもね」
元々私の場には、≪妖精騎士イングナル≫しか残っていない。バウンスされるのは、男のカードだけだ。
「くっ……! だ、だが所詮攻撃力は2200。次の俺のターンでいくらでも……!」
「次のターンなんてないから! 手札から魔法カード≪鬼神の連撃≫。自分フィールド上に表側表示で存在するエクシーズモンスター1体を選択し、そのエクシーズ素材を全て取り除いて発動! このターン、選択したモンスターは1度のバトルフェイズ中に2回攻撃する事ができる! 私が選択するのは当然、≪妖精騎士イングナル≫!」
「な……!」
「……貴方の言う通り、≪イングナル≫の攻撃力は確かに2200と高くない。この世界だと、エクシーズモンスターの使用率は高くないのかもしれない。だけど、攻撃力だけで勝敗が決まるわけじゃないから、今昔のカードが入り乱れるから、いつだってデュエルは面白いんだ。――その辺きっちり反省するように! ≪イングナル≫で、連続ダイレクトアタック!」
深緑の騎士が怒涛の二連撃を相手に叩き込んだ。
ピー、とデュエル終了を告げる無機質な音が鳴る。
デュエルが終わるに伴って、モンスターたちは夜露のように霧散していった。
私も視界をARビジョンから通常モードに切り替える。
「……くそっ!」
「え、消えた!?」
負け惜しみの悪態をついたかと思えば、男の姿は最前のモンスターたちみたいに消えてしまった。
またも予想外の事態に慌てたけれど、気を抜いてうっかり下を見てしまったことで我に返る。とりあえずデュエルには無事勝ったことだし、一旦下に降りようそうしよう。それから、この
デュエル構成で初めてゲームでの検証をしなかったので、間違ってる部分があったら「バグだな!」と見逃してください。未だに改定されたルールを理解しきれてないとか絶対言えない。
VR世界だと融合・シンクロ・エクシーズ・ペンデュラムの扱いってどうなっているんでしょうね……儀式はどの世界でも生存できそうですけど……。