深く考えても結局一文字も書けないだけなのだから、IQをほぼ0にして一文字目を書き出しなさい。それからのことはそれから考えなさい。未だ無き傑作に悩むより、無心でありふれた駄作を量産しなさい。一つぐらいは良作かもしれません。
とりあえず思い付いたものを書いていきなさい。途中で面白くなくなるかもしれませんが、それでもゼロよりはずっとマシです。数学の証明問題で問題文を一行目にまとめただけでろくに計算式も記さず、しかしそれで部分点を狡く稼ぎ、どうにか赤点を免れていた日々を思い出すのです。一行あれば〇にはならずとも×にもならず、△にはなるのです。
一行、いえ一文字を書きなさい。
さすれば道は開けるでしょう。
――自己暗示終わり。よっしゃ、書くか。
それはそれとしてスマホのメモに「逆ハー狙いなのにことごとく成果が斜め上になり、結果として全キャラに(善意の友情百パーセントで)姉御扱いされる性悪女」とかいう狂気の走り書きが残されていたんですが、このときの私はいったい何を考えていたんでしょうか。