5.



<春> ×月××日 曇り

小生意気にも立ちふさがってきた園児共から金を巻き上げ、シッポウシティに向かっている途中でチェレンに呼び止められた。
「トライバッジを持つ者同士、どちらが強いか確かめるよ」
チェレンの奴、元気だなぁ。連日ストーカーに追い回され精神的に消耗している俺とは大違いだ。
だがポケモンと勝負を共にするトレーナー同士、闘いに手を抜くわけにはいかない。しっかりとチェレンの方を見据えると、モンスターボールを構える手に力を込めた。


勝負に勝ちすっかり悦に浸っている俺と悔しそうなチェレンの横を、プラズマ団が走り抜けていった。そのすぐ後にベルと泣いている子供が追い掛けてくる。
なんでも子供があのプラズマ団にポケモンを奪われたらしい。
すぐにチェレンと取り返しに洞窟に向かった。幼なじみの結束力ってやつ、見せてやるよ。





あのプラズマ団って連中は、一体何者なんだ?
「おれたちはポケモンを解放するため、愚かな人間どもからポケモンを奪っていくのだ!」
「ポケモンは返す……だがこのポケモンは人に使われかわいそうだぞ……いつか自分たちの愚かさに気付け」
この台詞だけ聞くと、なんかポケモン大好きな集団っぽいんだけどな。だけどその割にはポケモンに対する扱いが荒いし。
ポケモン解放解放って馬鹿の一つ覚えみたいに言う割には、自分達はしっかりポケモン使ってやがるし。
なんにせよ、面倒くさい連中ってのだけは間違いないな。








<春> ×月××日 曇り

誰かあの緑を何とかしてくれ。


サンヨウシティからシッポウシティまでは、綺麗に整備された一本道だから進みやすい。
草むらは何故か高確率でNが潜んでいるので、草むらを通らずにシッポウシティまで行けるのは有り難かった。



……アイツ、いつも草むらに潜んでるけど野生に襲われたりはしないのかな。





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「見えない臓器の名前は」
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