「なかよくしますからああああ」
なんてシュールな光景なんだろう。男子2人がすがり付くように扉を叩いている。しかも、日向くんと影山くんじゃないか。確実に大地先輩に閉め出されたんだろうなぁ。きっと田中さんは中で笑っているだろう。
仕方なく間を割って入ろうとすると影山くんに突き飛ばされた日向くんの体が私の目の前で反転した。その途中でバッチリ目が合う。普段より大きく開かれたその目は少し驚いているようにも見えた。私が差し伸べた手をとったので立ち上がらせてあげる。案外、手は小さいらしい。
「ありがとう!」
「どういたしまして」
太陽のような笑みでお礼言われて思わず頬の口角が緩む。しかしそんな和やかな雰囲気は影山くんが「部活に参加させて下さい!!」と言う声で破られた。なにがあったのか聞こうとするとガラッと開かれた扉の向こうに大地先輩の顔。そのままじっと見つめられた影山は耐えきれなくなったようにボソボソと口を尖らせて文句を漏らした。私の隣にいた日向くんもさすがに対抗している。
「でもさ」
盛大に笑った大地先輩はまるで初めてボールに触る子供に教えるような口調で影山くんに言った。もっともだ。チームプレーが大切のこの競技でどうやって戦って勝つというんだ。1人うんうんと頷いているとお呼びの声がかかったので正面を向く。
「潤、おいで」
「はーい」
2人には悪いが私だって早く部活したいんだ。日向くんに絆創膏を1つ手渡して中に向かった。そのあとに大地先輩が思い切り扉を閉める音が聞こえたけど気にしないでおこう。
「よお広瀬!元気だったか!」
「入学おめでとう、広瀬」
「田中さん!菅原さん!」
くるりと振り返ったその先には慣れ親しんだ先輩の姿があったので小走りで駆け寄ると田中さんに頭をグシャグシャにされた。それを止めとけ田中ーと静止する菅原さん。変わらないけど、そうだ。今日から違うことがあるんだった。
「今日から改めてよろしくお願いします、菅原先輩!田中先輩!」
ぺこりとお辞儀をすると2人はなんか照れ臭いなーと頭をかいた。3人で話していると大地先輩からお呼びがかかったので大きく返事をして走り出した。
さて、マネージャー業頑張りますか!